原材料、エネルギー、物流などのコスト増に見舞われた上期。第2四半期連結業績は増収減益となった。乳製品事業では家庭用の販促再開や業務用の回復でバターの売上が前年を超え、チーズも家庭用ナチュラルチーズ(NC)や業務用の売上増で前年並みを維持。下期に向け順調な滑り出しを見せている。多くの企業が上期のコスト高により通期業績予想を下方修正するなか、同社は当初予想を据え置いた。予想数値の達成に向け、ロングセラー商品の魅力を再発見してもらうプロモーションや機能性商品の認知向上を図る。
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乳価アップ、動向見極め 佐藤社長
11月から飲用向け乳価が引き上げられた。コストを販売価格に反映し、市場に定着させることが必要だ。プロセスチーズ(PC)の価格を4月に改定し、9月に容量変更した。マーガリン類は昨年10月と今年9月に価格改定し、業務用についても行ったが、着実に定着している。家庭用バターは磯分内工場の稼働が安定し、今期は販促に取り組んでいる。家庭用チーズは昨年、巣ごもりによる伸びで「雪印北海道100さけるチーズ」の一部商品を休売したが、8月からは全6アイテムが揃い成長軌道に戻った。この流れを来年の大樹工場新ライン稼働につなげていく。乳製品は第3四半期の最需期に入り好調な滑り出しだ。
下期の販売物量拡大への取り組みとしては、バターの料理での使用、カマンベールの食べ方提案など新しい楽しみ方を提案するとともに、CMや増量キャンペーンによってPCなどの商品群を支えていく。内外の価格差が縮小もしくは逆転し、国産乳製品の優位性が高まっている。北海道産生乳を100%使用した「雪印北海道100ブランド」の魅力を伝え、国内の生乳需給課題解決にも対応する。
乳価改定とコスト上昇分の一部を反映し、家庭用市乳商品と業務用商品の一部について、11月1日出荷分から価格改定した。まずはこれをしっかりと定着させる。
次に新商品の導入とプロモーションを行う。1つ目は価値訴求型商品のラインアップ強化だ。MBPドリンクに次ぐ機能性表示食品「関節ケアドリンク グルコサミン」と「記憶ケアドリンク βラクトリン」を発売し、消費者の健康意識の高まりに対応していく。2つ目は新たな飲用シーンの提案。小型キャップ付き容器の牛乳の良さをSNSやテレビCMを通して伝え、需要を喚起し、裾野を広げる。3つ目は主力ブランドの活性化。60周年を迎えた「雪印コーヒー」はカテゴリーの枠を超えたコラボにより活性化を図る。4つ目はヨーグルトカテゴリーの販路拡大。カテゴリー全体でプロモーションを強化しボリュームを獲得する。機能性ヨーグルト「ガセリ菌SP株ヨーグルト」が持つ内臓脂肪低減効果はお客様にとって大切な健康価値。機能の認知を高め、着実に軌道に乗せていく。
需給緩和への対策としては、年度末に向けて販売強化による処理をしっかりと行う。国内のチーズ消費量は約36万t(2021年度)あり、約30万tを輸入でまかなっている。生乳に換算すればおよそ300万tだ。そのうち10%でも国産の生乳を使えば需給は改善されてくる。乳価交渉も前向きに進めていきたい。乳価改定による商品への価格転嫁が酪農生産基盤の棄損になれば元も子もない。11月の乳価アップの動向をしっかりと見極めていく。