味の素 売上高・事業利益が過去最高 企業価値向上へ4領域を設定

味の素社は7日、2023年3月期第2四半期決算を発表し、この中で藤江太郎取締役代表執行役社長(最高経営責任者)は「中間決算は増収増益となり、売上高・事業利益はIFRS導入後、半期ベースで過去最高を達成した」と語った。

さらに「『志×熱×磨』&『スピードアップ×スケールアップ』に取り組み、2023年度3月期中間決算でも早期の成果を得ることができた。アミノ酸のはたらきで『食と健康の課題解決企業』に進化していくため、中期ASV経営を導入し、トコトン本気でASV(味の素グループ・シェアード・バリュー)組織を目指し、挑戦していく。一方で世界的に景気後退の兆しが見られる。徹底的な『見える化』とスピードアップをさらに進め、事業ポートフォリオの強みを生かし、持続的に企業価値向上を実現していく」とメッセージを発表した。

中間決算の売上高は、換算為替の影響に加え、調味料・食品セグメント、冷凍食品セグメントおよびヘルスケア等セグメントいずれも増収となり、前年同期比119.9%の6千598億円。事業利益は原材料などのコスト増の影響を受けたが、換算為替の影響やヘルスケアなどの増収効果などにより107.2%の743億円。四半期利益は固定資産(遊休資産)の売却益などにより86.8%の470億円だった。直近の業績を踏まえ、通期売上高は1兆3千670億円、事業利益は1千330億円に上方修正した。

セグメント別では、調味料・食品の売上高は118%の3千727億円、事業利益は増収効果や換算為替の影響があった。冷凍食品の売上高は120.9%の1千285億円、事業利益は3億円の損失。ヘルスケア等の売上高は124.3%の1千516億円、事業利益は135.1%の308億円、その他事業の売上高は68億円だった。

藤江社長は「企業価値向上に向けた成長戦略」の説明の中で、「4領域の成長ドライブ」と「食品とアミノサイエンスの融合」「選択と集中による効率経営強化」により成長力・収益力を高めると語った。

4領域としてヘルスケア(健康寿命の延伸への貢献)、フード&ウェルネス(Well-being〈健“幸”〉と自己実現への貢献)、ICT(地球にやさしいスマート社会への貢献)、グリーン(地球や社会、将来世代への貢献)を設定。

このうちフード&ウェルネスのマーケティングの日本での直近成功例として、「クノール」のスナックスープが新しい領域を創造したことや、オイスターソースを買わない生活者の不満を解決した新製品「Cook Do 炒ソース」が新市場を創出したこと。海外ではプラントベースプロテインのハンバーガーミックスがベジタリアンなどに浸透していることを成功例としてあげた。