ローソン新・省エネ店舗が開業 「冷蔵棚にガラス扉」「冷凍平台にアクリル扉」「ドリンク剤棚廃止」など複数の施策を一挙に実施

 ローソンの新型・省エネ店舗「ローソン川崎中島三丁目店」(神奈川県川崎市)が3日オープンした。

 電気代高騰を受けて脱炭素社会の実現に向けた従来の取り組みを加速させる。

 同店は、一部の店舗で既に導入している省エネ施策に新たな取り組みを加えた複数の施策を一挙に実施する最初の店舗となる。

 同店で、国の基準年度である2013年度比で電気使用量を40%削減、CO2排出量を55%削減していく。

 建物屋根に19kWの太陽光パネルを設置して創エネにも取り組み、1店舗あたり約100万円の年間電気料金削減を見込む。

 今後の展開について、4日取材に応じたローソンの池田鋼一郎開発本部店舗建設部部長は「今回が1号店で、今後、各エリアで先行店舗を広げていき、本年度と来年度で検証する。最終的に24年度で効果が出ればローソンの標準仕様店舗として計画的に改装していく」との青写真を描く。

 検証のポイントは、電気使用量に加えて「お客様の導線と売上金額を軸に検証していく。店舗作業の負荷といったオペレーションがどう変わるかもみていく」という。

 複数の施策のうち売場で最も効果が見込めるのが、ガラスの扉を設置した冷蔵ショーケース(冷蔵棚)の導入。

 これにより「オープンケースに両開きの強化ガラス扉を導入して冷気漏れを改善し外気の侵入を抑える。目標では店舗全体の電気使用量の6%程度を削減する。売上げだけではなく、専用カメラを時限的に設置して、お客様が扉に手を伸ばす状況や立ち寄り状況などお客様の行動を含めてみていく」。

アクリル扉を設置した冷凍平台 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
アクリル扉を設置した冷凍平台

 次いでアイスクリームなどを販売する冷凍平台にはアクリル扉を設置して、冷気漏れを改善し外気侵入を防ぎ店舗全体の電気使用量の1%程度を削減する。

 初の取り組みとしては、レジ前などに置かれるドリンク剤ショーケース(ドリンク剤棚)を廃止し、飲料のウォークイン冷蔵ショーケース(飲料棚)でのドリンク剤やゼリー飲料の販売が挙げられる。

 「ドリンク剤棚の売上げの多くを占めているのはエナジードリンクで、小瓶ドリンクのウエイトが下がっていることから、ランニングコストを考えてドリンク剤棚の商品を全て飲料棚に入れることにした」と述べる。

 これにより店舗全体の電気使用量の2%程度を削減する一方、飲料の品揃えは縮小を余儀なくされる。
 これには、飲料棚の付近に冷温切り換えのショーケースの設置することで縮小を抑制。冬場は冷温切り換えのショーケースでホット飲料を販売するため飲料棚は棚1本分が縮小するものの、夏場にはホット飲料の品揃えで失った1本分の棚が復活することとなる。

 飲料棚にも工夫を施す。結露防止用ヒーターを最小限にして省エネを促進し、商品を見やすくするため扉枠を薄く改善した。

 エネルギーマネージメントシステム(EMS)を導入し、各所に設置したセンサーで店内外の環境を検知して消費電力量の見える化にも取り組む。
 EMSを経由して外部(本部)からの電力使用量の制御も可能。

 これについて、樋口智治開発本部店舗建設シニアマネジャーは「EMSは本部のPCから各店舗の照明・エアコンなどを制御できる仕組みで、ローソン全体で電気使用量を削減できる時間帯がつくれると市場で売買できる。(政府から)節電要請が出されたときにEMSが活躍した。本部の節電要請に対して店舗は売場の状況を踏まえて拒否することができ、双方の考えが合致したときに制御できる仕組みになっている」と説明する。