ヨーグルト 市場停滞下での価格改定 酪農支援の大義名分も 小売の思惑絡み先行不透明

大手メーカーを中心に11月から価格改定を控えるヨーグルト。市場が停滞するなかでの価格改定となるため、メーカー各社もその影響を測れないのが実情。「生活者の財布の紐が締まった時に『ヨーグルトはいいか』となっては大変」(メーカー)と危機感を募らせる。

今回の価格改定は、飼料価格、水道光熱費、物流費などの高騰に苦しむ酪農家を支援するため、乳価(生乳取引価格)が11月1日から引き上げられることに加え、原材料価格やエネルギーや物流コストの上昇などを受けた措置。これまでに価格改定を発表している主要メーカーの値上げ幅(メーカー希望小売価格に対し)は、明治(58品)2~10円、森永乳業(44品)5~10円、雪印メグミルク(13品※市販用)5~10円、オハヨー乳業(15品)5~20円など。

各社主要商品の税別価格は、明治が「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン」270円(現行260円)、「明治プロビオヨーグルトR-1」139円(同132円)、森永乳業が「ビヒダス プレーンヨーグルト」230円(同220円)、「森永アロエヨーグルト」137円(同130円)、雪印メグミルクが「ナチュレ 恵 megumi」260円(同250円)、「牧場の朝ヨーグルト 生乳仕立て」185円(同175円)、オハヨー乳業が「ぜいたく果実 まるごといちご&ヨーグルト」135円(同125円)、「おいしく果実 いちごヨーグルト4個パック」240円(同230円)など。

価格改定の影響が未知数なのは「NB商品で価格感度の高い牛乳、ヨーグルト、豆腐、納豆などについて、(消費者の)価格感度はいままで以上に敏感になっている」「価格感度の高い商品については、どちらかと言えば価格を下げていくという対策をとっていきたい」(大手量販)といったように、小売サイドの下期価格政策も要因。メーカー希望小売価格は引き上げられるものの、商品によっては店頭売価が大きくは変わらない可能性もあり得る。

小売サイドでは下期、収益拡大に向けて高付加価値商品とコモディティ商品でメリハリのある価格政策も展開する構え。ヨーグルトは、ハードやドリンクなどで独自の乳酸菌やビフィズス菌、機能性などにより差別化されたオンリーワン商品が存在する一方で、PBと競合するプレーン、ハード、ソフトの連物などは、大手、中堅含めた価格戦が展開される可能性も想定される。競合との差別化が難しい商品は「値ごろ感を失うとボリュームが取れなくなる心配はある。売価付けを気にしながら商談を進めている。ガタガタとなるリスクもある」(メーカー)と警戒感を強める。

価格改定の影響を含め下期の市場動向は不透明だが、それだけに非価格面での話題作りやエビデンスを含めた情報発信、ブランドの活性化施策も重要。「総需要をいま一度引き上げるため、ヨーグルトの価値を上手に伝えるような情報発信をしていかなければならない」(同)といったように、改めてヨーグルトの価値を訴求する取り組みが求められる。