9.7 C
Tokyo
4.9 C
Osaka
2025 / 12 / 26 金曜日
ログイン
English
飲料系飲料「inゼリー」が過去最高の売上高  コロナで失われた飲用機会を取り戻して「フルーツ食感」で新需要創造 森永製菓

「inゼリー」が過去最高の売上高  コロナで失われた飲用機会を取り戻して「フルーツ食感」で新需要創造 森永製菓

 ゼリー飲料市場のトップブランド「inゼリー」(森永製菓)が前期(3月期)に過去最高の売上高を記録してコロナ前の水準に回復。これによりゼリー飲料市場も息を吹き返している。

 20年はコロナ禍で人の動きが制限されたことが痛手となりゼリー飲料市場は20%弱減少したと推定される。

 コロナで主に失われたのは、ボリュームの大きいスポーツシーンやオフィスワーカーが通勤途中にコンビニなどで購入して朝食代替で飲まれるビジネスシーン。

 21年は、20年よりも長期間にわたり緊急事態宣言が発令されたことに加えて、まん延防止等重点措置が各自治体から出されながらも、人流が徐々に回復。

 そうした中、森永製菓は「inゼリー」が持つ価値を改めて訴求したところ、コロナで失われた既存の飲用機会を獲得。加えて、新しく生まれた飲用シーンを掘り起こして巻き返しを図っている。

 「inゼリー」の前期(3月期)実績は金額ベースで前年比約20%増。前々年比(19年4月~20月3月)でも2%程度のプラスとなった。

 これが牽引してゼリー飲料市場も前期、前年比約15%増、前々年比約1%増の770億円と推定される。

 「簡便においしく栄養と水分が補給できて、常温保存可能でキャップを閉めて持ち運びできるといった商品の絶対的な価値まで損なわれたわけではなく、ニーズを捉えられれば需要は回復できることを思い知った一年だった」と営業本部菓子食品営業部健康営業グループの中野一宏マネジャーは振り返る。

 前々年比プラスは、アイテム増が影響しているが、既存商品も概ねコロナ前の水準に戻りつつあるという。

 「コロナで苦戦していた看板アイテムの『エネルギー』がほぼほぼコロナ前の19年の状況に戻ってきている」と述べる。

高い伸びをみせる「マルチミネラル」
高い伸びをみせる「マルチミネラル」

 一方、昨年は、新しく生まれた飲用シーンに対して、「プロテイン」と「マルチミネラル」の2品に注力。
 コロナによる生活様式の変化を受けて、昨年3月30日には新たな種まきとして「inゼリー フルーツ食感」シリーズも新発売した。

 「プロテイン」は、コロナ以前からプロテイン粉末ブームで伸長傾向にあったが、コロナでその勢いが加速。

 昨年、その「プロテイン」を上回る高い伸びをみせたのは「マルチミネラル」で、この要因については「複合的な要素があるが、1つには女性の間口が拡大した点が挙げられる。既存シーンの回復とともに、これまで自分事化されていなかった女性の生活者が代理購買も含めて入ってきている」とみている。

 新たな飲用シーンとしては、コロナワクチン接種時や自宅療養時でも見込む。

 「SNSで発熱に備えて買い込むといったコメントが散見され、実際にスポーツドリンクや解熱剤・鎮痛剤と売れ行きの波形が同じになった」と語る。

「フルーツ食感」の「もも」と「梨」
「フルーツ食感」の「もも」と「梨」

 今期の方針は「回復してきている既存シーンの足場をしっかり固めていく。各シーンに合ったプロモーションを実施して『フルーツ食感』のような新しいお客様に自分事化していただける商品を展開していく」。

 夏場の施策としては熱中症予防の活動と「フルーツ食感」の定着化に向けて露出強化を図っていく。熱中症予防の活動は「甘酒」や「inタブレット塩分プラス」といった同社商品群でアピールしていく。

 「フルーツ食感」は、在宅時間増加に伴い気分転換・ストレス解消目的での間食機会が増加していることに着目して開発された。同社調査で、ゼリー飲料でも“罪悪感の少ないヘルシーな間食”としてのニーズが高まっていることが浮き彫りになった。

 果物のジューシー感と健康志向への対応を両立させた点が特徴で、開発にあたっては本物の果実と比較しながら試行錯誤を重ねたという。

 同社が保有するゼリーの食感をコントロールする技術によって果物のようなゼリーの食感としっかり甘さが感じられる果物の味わいを打ち出す一方で、食物繊維を5g配合しカロリーを90kcal以下に抑えられている。

多部未華子さんを起用したTVCM
多部未華子さんを起用したTVCM

 今期は、発売初年度で洗い出された課題を解消すべく刷新し「もも」と「マンゴー」の品揃えを「もも」と「梨」に変更して3月22日から発売している。

 「昨年は『inゼリー』として出したが、果実のシズルをさらに打ち出すべく刷新した。女性の方に自分事化していただくことを目的に多部未華子さんを起用したTVCMを投入したところ、CMの評価が物凄くよく“おいしそう”“食べてみたい”という女性層の購買喚起ができた」と手応えを語るのは、営業本部菓子食品営業部健康営業グループの望月誠浩課長。

 そのほか商品面では、カロリー摂取忌避層に向けて「マルチビタミンカロリーゼロ」をオレンジ味からパイナップル味に変更するなどして3月22日から発売している。

「エネルギーフローズン」
「エネルギーフローズン」

 夏場に向けては「エネルギーフローズン」や「エネルギーレモン」の「熱中症予防声かけプロジェクト」商品にも期待を寄せる。

 「エネルギーフローズン」は“冷凍なのにゼリー食感でおいしく暑さ対策”を謳った商品で、テスト展開を経て5月からスーパー・量販店で販売している。

 同商品には「暑さ対策のレベルもさまざまで、カラダをすぐに冷やさないといけないシーンに凍ったゼリーの新食感でおいしく暑さ対策していただきたい」との思いが込められている。

関連記事

インタビュー特集

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。