国内海苔メーカーの間で、脱炭素化を意識した商品化の動きが広がりを見せている。湿気が大敵の海苔は通常、水を通さないプラスチック製の包装資材やトレーを使用するのが定番。だが、加速するカーボンニュートラルやSDGsの流れに対応するため、プラスチック使用量を削減したり紙に切り替えたりするメーカーが出始めている。
永井海苔が3月に発売した「ECO STYLE味のり10切80枚」は、商品パッケージの材質に紙を採用した春夏向け新商品。自社の卓上容器と比べ、プラスチックの使用量を約92%減らした。防湿性を保った紙をスタンド袋にしている点が特徴。卓上容器への詰め替え用としても推奨しており紙ごみとして廃棄できるため、パッケージに「紙マーク」を付けエコ商品として訴求している。
トレンドを取り入れた商品は「取引がなかったスーパーで取り扱ってもらい、売上も伸びている」といい、来夏に稼働する予定の新工場ではSDGsを意識した商品づくりも視野に入れている。
白子は環境に配慮した新ブランド「スマプラ」を立ち上げ、昨年3月にトレーを省いてプラスチック使用量を30%削減(自社製品比)した「スマプラ手巻き10枚アルミ入り」を投入した。ギフト製品の包装仕様であるアルミを採用し耐水性も確保した。パッケージは植物由来の資源を原料の一部に使用したバイオマスインキで印字するなど、環境に優しい商品として提案している。「スマプラ」はシリーズ化していく方針で、「プラスチックごみによる海洋汚染は深刻な問題。海の恩恵である海苔を扱う企業として、またSDGsを推進する観点からも環境へ配慮した製品づくりへの取り組みを実施する」としている。
山本海苔店も4月に発売した海苔スナックの新商品など3商品について、パッケージにバイオマスインキを使用するなど、サステナビリティを重視した商品開発に取り組んでいる。
脱炭素化をめぐっては、プラスチック資源環境促進法が今年4月に施行。プラスチックを使用したすべての製品を対象に、包装資材のプラスチック使用量削減や植物由来原料への転換などが求められている。