猿田彦珈琲は、コロナ禍による債務超過のピンチを乗り越え成長へ弾みをつける。前期(5月期)業績は増収増益となり売上高は34億円超に達した。
25年12月5日、取材に応じた⼤塚朝之社長は「コロナ禍で大打撃を受けて債務超過に陥ったが、前々期と前期に黒字となったことで、やっと債務超過の状況から脱することができた」と語る。
前期業績は店舗が貢献。これに伴い猿田彦珈琲ブランドもじわり浸透したとみられる。小売店へのドリップバッグや飲料などの卸売事業は、欠品を避け既存導入店との取り組みを強化したこ とで計画通り横ばいとなった。

昨年は6店舗を新規出店して店舗数は現在29店に上る。
新規出店した中で大塚社長が「凄く自信になった」と胸を張るのは「淀屋橋駅店」(大阪府大阪市)。旗艦店の「The Bridge 原宿駅店」よりも交通量の多い立地で「一定以上上手くいけた」という。
「猿田彦珈琲 Special Edition 東京大学」(東京都文京区)でも手応えを得る。
「居抜き物件の内装を少し変えさせていただいたところ上手くいき、私なりの方程式がまた一つでき勉強になった。東京大学にお店がつくれたのも嬉しい」と述べる。
今後は、猿田彦珈琲ブランドのさらなる認知拡大に向けて、引き続き店舗と卸売の両軸に取り組んでいく。
「店舗を利用して下さるとファンになっていただける確率が高くなる。店舗はブランドの体験価値を創出できる場所であり、今期は前期以上に背伸びをして出店していきたい」と力を込める。

出店にあたっては「手頃においしいコーヒーが飲める場所」を念頭に好立地であることを重視。26年2月には「京都祇園店」(京都府京都市)のオープンを予定した。
店舗メニューにも磨きをかける。
「今秋のタイミングで我々が思い描く新しいビジネスモデルを新店舗で具現化していきたい。メニューが全てであり、メニューを起点にそれに付随する接客や、どのように稼いで事業を継続させるかなどの方法論を何度も話し合って詰めることができた。外部から雇い入れた某⼀流ホテルのパティシエやプロのマーケッターによって発想の幅も広がっている」と自信をのぞかせる。
25年10月1日、三菱商事が保有する15%弱の同社株式を買い戻し、今後は成長の資金として増資を受け入れる方向で動いている。
「三菱商事さまには約6年半、当社が次のフェーズに移行するための踊り場を一緒に経験していただいた」と感謝の意を表する。
一方、増資受け入れについては「新しいステージに向かうにあたって運転資金が必要」との考えを明らかにする。
収益面ではコーヒー豆が依然高値基調にあり難しい舵取りを迫られる。
「ブラジル産豆が大減産になり物凄く高騰している。他の産地豆は高騰しても逃げ道はあったが、今回は逃げ道がない。生産者との信頼関係もあるため、高値でも買わせていただいている」と説明する。

