25年4月から現職の三井農林・藤井洋社長は、2027年に控える「日東紅茶」100周年を契機にブランド強化に取り組んでいる。
11月13日、取材に応じた藤井洋社長は「紅茶を飲んで下さる消費者やお取引先の皆様などのステークホルダー、全社員に対して感謝を伝えることを起点に、次の100年に向けて『日東紅茶』のブランドエクイティ(資産)を向上させていきたい」と意欲をのぞかせる。
現在、社内プロジェクトが始動したばかりで、外部の視点も取り入れながら社員のアイデアをベースに施策を組み立てていくことを基本に据える。
大枠としては「『日東紅茶』に古風なイメージを持たれている方も多いかと思うが、100周年施策を通じてワクワクといったような 躍動感のあるイメージもブランドに付与していく」との青写真を描く。

この考えの先駆けとして、25年秋に「ミルクとけだすティーバッグ」と「ロイヤルミルクティー」両シリーズのイメージキャラクターにアイドルユニット「ROIROM(ロイロム)」を起用したコミュニケーションが挙げられる。
起用の背景や効果について「そもそも若年層や女性にブランドのファン層をより広げていきたいという狙いがあり、ターゲット層と同じ感性を持った社員のみなさんが中心となって施策をつくりあげてくれた。新しいことにチャレンジする仲間の姿はとてもカッコよく、それを見た他の仲間たちの心も熱くさせるので、ブランド強化だけでなく社内カルチャーの変革にも大きなプラスだった」と説明する。
こうした新しい発想を生み出すべく社員のポテンシャルを引き出すことを強く意識する。

社長就任後には全拠点を回り社員・役員と対話を重ねていった。
「社員のポテンシャルは非常に高く、それをしっかり引き出し組織として力を発揮させていくのが組織長の役割だと考えている」と力を込める。
紅茶やお茶の可能性もさらに引き出すべく、4月に会社経営の羅針盤となる新MVV(Mission・Vision・Values)を発表した。MVVの刷新にあたっては自主的に参加した約70人の社員で議論を重ね、途中から役員も加わり練り上げていった。
「議論に要した時間は物凄く有意義であり、ぼんやりしていたことが対話することで明確になり、社員同士の絆が深まっていった。刷新したMVVを単なるスローガンではなく、その理念を実際の行動を通じて実現していきたい。」との確かな手応えを感じている。
藤井社長が社員と接する上で大切にしているのは仲間を応援するという姿勢。
「一緒に働いている仲間を応援するというのがベースにある。組織長をやらせていただく中で、自分が引っ張ることを当初は意識していたが、応援していたはずの自分が、実は仲間から応援されていたことに気づかされる場面が多々あった。人と人が支え合うというのがどういうことか実感をもって理解でき、それ以来、仲間を応援する姿勢を一貫して大切にしている」と語る。
中長期的にはこれまでも生産側との連携は進めてきているが今まで以上の川上に踏み込んだサステナブルな形での原料安定供給の仕組みの構築や海外でのファンづくりを視野に入れる。
趣味は週末のランニングと出身地の広島のお好み焼きをつくること。
