大阪の百貨店で長蛇の列を見かけた。万博公式グッズ売場の混雑緩和のための入場制限だった。閉幕から半月以上経つが続々と新作が発売されているという。
▼開幕期間の経済効果について話題に上ることが増えた。国内外から観光客が訪れ、業務用を中心に上振れした。某ビールメーカーは4~9月の樽生販売が全国平均より5㌽上昇した。なかには「プラスもなければ、万博ロスもない」と言い切った外食チェーンもあるが、積極的に関わった企業ほど恩恵を受けた印象だ。
▼万博のレガシーを次にどう生かすのか。サントリーは大阪工場発のクラフトジン売上が期間中に他地区の1.5倍伸びた。この勢いを継続するべく、関西の料飲店向けにスピリッツ類の販促を強化する。万博内でグルテンフリー食常設店を展開したケンミン食品は「次は関東でGF食認知を高めたい」と、2年後に横浜で開催される花博に意欲的。「鉄は熱いうちに」と、新しい起爆剤を模索する動きが高まっている。
▼中小企業が多い関西は長期的な経済停滞が続いたが、技術や商品だけではない、世界的イベントの成功体験というレガシーも残った。余韻に浸るのではなく、推進力を継続する努力で国内経済を牽引して欲しいと願う。


