市場にない価値を MDホールディングスの商品開発(前編) 個包装・高級ナッツ “超”低カロリーの間食

MDホールディングス(東大阪市)は毎年約30品目の新商品を発売する。菓子卸を本業とする同社が、自社商品の開発に乗り出したのが2012年。現在では約200種類の商品を揃える。

当初は「問屋として理解されていても、メーカーとしては認識されておらず苦労があったようだ」と開発戦略グループの原宏和リーダーは話す。その中で市場にない新しい価値を創出しながら商品を広げてきた。

今も売れ続けるロングセラーの一つが「ナッツ&フルーツ」。当時はナッツを個包装にした商品は珍しく、その利便性が受け入れられ広がった。それがきっかけとなり、現在も多くのナッツ商品を揃える。

つい最近まで同社の売上ナンバー1の地位にあったのが、「森の黒トリュフ塩ナッツミックス」。5年前の秋、ボジョレーヌーボーのシーズンを狙って発売。「高級な風味や味付のナッツ商品は、一般にはほとんど流通していなかった」(原リーダー)と振り返る。上代450円の価格が受け入れられるか不安もあったが、首都圏の高品質スーパーなどでの扱いが徐々に増え、それに合わせ売上も伸びた。

若い層にも広がった「きになるきくらげ」
若い層にも広がった「きになるきくらげ」

この「森の黒トリュフ塩ナッツミックス」に替わり、現在同社の売上1位に輝くのが4種類の魚をミックスした「魚の炙り焼」だ。「あじ、いわしだけでなく、きす、さよりを使っている珍しさが支持されている。カルシウムやたんぱく質摂取への関心が高まっている時代背景も追い風になった」と同グループの常岡奈央さんは説明する。水産珍味はナッツに続く同社の柱に育っている。

現在、特に推している商品が「きになるきくらげ」。その名の通り、梅しそ味で仕上げたきくらげが個包装で入っている。健康を気にする50代以上をターゲットに食物繊維や鉄分、ビタミンDといった栄養素をパッケージで訴求した。だが、ダイエット系のインスタグラマーが投稿したことで話題を集め、若い層にも広がった。1袋食べても29k㎈のため、罪悪感のない間食として受け入れられ、まとめ買いする人も多い。

「今、市場に並ぶ商品にはない価値を、全国のメーカーと一緒になって考える」(原リーダー)。卸として、商品開発する強みがそこにある。

(つづく)