日本ワインとの出会いによる、新たなクラフトビールの誕生だ。
メルシャンの日本ワインブランド「シャトー・メルシャン」勝沼ワイナリー(山梨県)では、摘房ブドウ500㎏をビール醸造を手がけるファー・イースト・ブルーイングに提供。両社のコラボによるクラフトビール「Far Yeast Grapevine 2025」としてこのほどリリースされた。
山梨県産の作物を使ったビール造りプロジェクトを展開するファー・イースト社が、ワイン用ブドウを栽培するメルシャンとタッグを組んだ。ワインに適したブドウ作りに欠かせない、生育段階で房を間引く摘房作業。摘房後の果実を、ビールとしてアップサイクルしたのが今回の商品だ。
「コロナ禍で山梨の観光産業が打撃を受けたのをきっかけに、はねだし品(B品)のモモをビールに活用するプロジェクトを開始。1年目から好評をいただいた」と説明する、ファー・イースト社の富田晃史マネージャー(=下写真㊥、10月9日のメディア向け体験会で)。
「摘房ブドウは糖度が低くワインには適さないが、ビールには十分。果汁のほか果皮も使えるので、ブドウの香りの個性的なビールが造れる」。
赤ワインの製造工程で、発酵中のワインに果皮を漬け込む「マセレーション」という手法を参考にしたという。

この日の体験会で、シャトー・メルシャンの小林弘憲ゼネラル・マネージャー=写真㊨=は「マスカット・ベーリーAの花のような香りと、シラーの味わいがきれいに出ていて、想像を超えるくらいおいしいビールに仕上がっている」と絶賛。
「摘房した果実は通常、土に戻してたい肥とする。それを活用いただける取り組みは、非常にいいと思った」と語った。
「Far Yeast Grapevine 2025」(品目は発泡酒)はファー・イースト社のWEBストアで14日から数量限定発売したほか、全国の飲食店や量販店でも販売。350㎖缶/15ℓ樽、度数6.0%、オープン価格。
また今月中は、同社が運営する東京・西五反田のビアバー「Far Yeast Tokyo」でも同品を提供するとともに、原材料にも使われたシラーを使った「シャトー・メルシャン 鴨居寺シラー 2022」の特別メニューを用意している。
メルシャンでは山梨県の地域活性化に貢献するとともに、持続可能なワイン造りを目指し、ワイン市場のさらなる活性化を図る考えだ。