江崎グリコの「アーモンド効果」は今秋、ライト層に継続飲用を促す施策を実施してヘビーユーザー化を図る。
現在、昨年のシステムトラブルによるチルド商品出荷停止期間に離反しなかった顧客層を基盤に再拡大している。
「アーモンド効果」が8割超のシェアを握りアーモンドミルク市場は、システムトラブル前の2023年と比較しても販売金額ベースで40-50%増で推移。「アーモンド効果」も同様の勢いで伸長している。
この勢いを加速させるため、トライアルからライトユーザー化、ライトユーザーからヘビーユーザー化の流れを作っていく。
同社の健康事業マーケティング部の川上雄太郎氏は「新商品や店頭でのタッチポイント強化によって、引き続きアーモンドミルク市場を引っ張っていく」と熱意をのぞかせる。

商品では、トライアルが期待できる新フレーバー「オリジナル微糖」(200ml・1000ml)を9月15日からECサイトにて先行発売。10月6日からは、200mlを全国で、1000mlを九州エリア先行で販売している。
「カテゴリが伸長していて、トライアルが増えているいいタイミングでの販売となった。コーヒーでも微糖が一定の地位を確保しているように、甘さのニーズの多様性に対応する」との考えを示す。
既存の「オリジナル」とカリバリを起こす可能性もあるが、それ以上にトライアルやユーザーの増加を見込み販売に踏み切ったという。
「これまで、『オリジナル』は甘すぎると感じる方は『砂糖不使用』の選択肢しかなかった。甘さの幅を広げたことで、ライト層が1回で離脱せず、次も『アーモンド効果』を選んでいただけるきっかけになる。フレーバー名にあえて『オリジナル』の文字を入れたことで、トライアルにつながりやすい」と期待を寄せる。
同時に10月6日から、これまでECサイトおよび通販宅配ルート限定販売だった「濃厚 砂糖不使用」(125ml)を全国の実店舗で発売している。
同商品のECサイトでの購入者は、およそ半数がブランドの新規購入者であり、ブランドの間口拡大に大きく寄与しているという。
「濃厚な味を好む方、量は飲めないが少量でもしっかり栄養を摂りたい方に支持されている。販売チャネルは、一般的なスーパーや量販店にも拡大していきたいが、まずは素材から栄養を摂りたいマインドを持つ方が多く訪れるセレクトショップ系スーパーなどの買い場を想定する」と述べる。

新商品発売のほか、店頭でのタッチポイント拡大にも取り組む。汎用性や飲用シーンを訴求することで、ヘビーユーザー化を狙う。
季節に合わせ、特にコーヒーの割り材としての活用に着目。相性の良さを発信する取り組み「Coffee&アーモンド効果」を、「コーヒーの日」である10月1日にあわせて展開した。
取り組みの第一弾では、9月24日から26日まで「東京ビッグサイト」(東京都江東区)で開催されたスペシャルティコーヒーの祭典「SCAJ2025」にブースを出展。業務用の「アーモンド効果 For Barista and Chef」の試飲や、コーヒーの焙煎度を変えたアーモンドミルクラテの飲み比べを提供した。
第二弾では、10月1日から全国の104店舗の飲食店で「アーモンドミルクフェア」を開催。参加店舗では、各店舗考案の「アーモンド効果 For Barista and Chef」を使用したコーヒードリンクメニューを提供している。
「業務用だけでなく、店頭でもコーヒーと並べての割り材訴求を行っていく」と意気込みを語る。
店頭では、マネキンを活用したさまざまな「アーモンド効果」の試飲体験も計画している。
コミュニケーションは、今年3月から松嶋菜々子さんを起用した新コミュニケーションを展開。9月15日からもTVCMを放映しているほか、「TVer」などデジタルでも順次出稿している。
「今春は新CMが話題となり、購入者数が増え間口拡大になった。実際に、CMを放映した翌週は回転が顕著に上がった」との手応えを得る。
新CMでは、松嶋菜々子さんが日常の中で「&アーモンド効果」のフレーズをリズミカルに呼び掛ける。
この内容により、一部の消費者が持っていた「アーモンドミルクは健康意識が高い人が飲むもの」という印象を変えられたのではないかとみる。
「趣味を楽しむ、など生活者の方が自分ごとに感じていただける生活シーンを切り取ったことで、トライアルの後押しができた。幅広い年代の男性層や、ブランドのコアユーザーである30-50代女性層を中心に、まんべんなくユーザーが増加した」と説明する。
春夏のアーモンドミルク市場は、同社のコミュニケーションや新ブランドの参入によって活性化している。
「アーモンド効果」でも、ブランドを知っていたが購入経験はなかったポテンシャルユーザーが多く流入し活性化につながっているという。
「今年は年間を通しても、市場全体の販売金額は2023年比で40-50%拡大すると推測している。数量も同様に伸長する見込み」と推測する。
今後も、伸長するアーモンドミルク市場のトップブランドとして牽引役を志向する。
「ポテンシャルユーザーはまだいらっしゃるため、引き続きブランドの購入者数を増やしていきたい。競争があるところには伸長があると考えているため、植物性飲料市場や健康ニーズのある飲料市場全体を盛り上げていきたい」と意欲を示す。