サントリー食品インターナショナルは「サントリー天然水」ブランド初の試みとしてアパレルの販売を通じて、水資源の大切さを啓発するとともにブランド価値を高めていく。
8月1日の「水の日」から4日までの4日間、麻布台ヒルズアリーナ(東京都港区)のイベント会場で販売しているのは、アパレルブランド「CLOUDY」とコラボレーションしたTシャツとトートバッグ。売上の全額は教育に還元される。
森に降った雨や雪解けの水が地下深くで磨かれて天然水になるまでには20年以上の歳月を要する。
アパレルの販売を通じて、このことを効果的に知らしめ、未来の水資源への気付きを促していくため、イベントは「WHAT IS 20?」と称し、地球上の水資源に関するパネルなども展示。「WHAT IS 20?」はコラボアパレルのオリジナルタグにも採用されている。
「CLOUDY」を運営するDOYA社は、アフリカの社会課題をファッションの力で解決することを目指してECや東急プラザ原宿「ハラカド」の店舗で「CLOUDY」を販売している。

「CLOUDY」に白羽の矢を立てた理由について、1日、会場で取材に応じたサントリー食品インターナショナルのSBFジャパンブランド開発事業部の稲垣亜梨沙氏は「サントリー天然水では『ウォーター・ポジティブ』のコミュニケーションを展開しサステナビリティを大切にしている。活動のフィールドは違えど、『CLOUDY』さまも未来をよりよくしていく思想を持たれ実際に活動されているところに共感した」と説明する。
環境省の「平成22年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書」によると、地球全体ですぐに使える水の量の割合は0.01~0.02%。ほとんどが海水で占められ、イベントを通じ水が貴重な資源であることも伝えていく。
「日本は蛇口をひねるとすぐに水が出てくることから、普段の生活の中で、水の未来を考えることはあまりないと思う。ファッションというすごく身近なものを通じて、水や『サントリー天然水』のことを考えるきっかけになれればいい」と期待を寄せる。

一方、「ガーナ全体で安全に水が飲める学校や水道がある学校はゼロ。ガーナでは子どもたちが1日6時間もかけて家庭の飲料水を運んでいるケースもある」と訴えるのはDOYA社CEOでNPO法人CLOUDY代表理事の銅冶勇人氏。
銅冶勇人氏は、営利事業のDOYA社と非営利事業のNPO法人CLOUDYを束ね、2つの組織を循環させて社会問題を解決してビジネスにつなげている。
ガーナに自社工場を設立・運営し、これまでに630人の雇用を生み出してきたという。事業を通じて得た収益の一部はNPO法人CLOUDYに寄付され、教育・雇用・健康を軸とした支援活動に活かされる。
NPO法人CLOUDYは、ガーナ初となる水道のある公立小学校の建設を進めており、この支援に今回のコラボアパレルの売上が充てられる。
コラボアパレルの売上は、サントリーがARROWS社との協業で実施している小学生向け授業の拡張・拡充にも充てられる。
コラボアパレルは、水をモチーフにオリジナルのアフリカンテキスタイルを使用。
このうちTシャツは、水を多く必要とする綿の脱色・染色の工程を経ず、繊維くずなどを再利用して製造された無水染色生地を使用し、水資源にも配慮した商品に仕立てられている。
イベント期間中、Tシャツは550枚を用意。冷えた「サントリー天然水」のサンプリングも行われ4日間で計2400本を配布予定となっている。