三井物産流通グループ 業務用/低温ビジネス拡大へ 統合2年目、基盤構築を推進

三井物産流通グループ(MRG)の柴田幸介社長は「総合力を生かした機能提案や経営インフラの強化が進んだ」と統合効果に手応えを示したうえで、「(発足2年目の今期は)新規事業の果実化とビジネスインフラ構築を加速し、業務用/低温度帯ビジネスも強化する」と語った。7月7日の三井食品会で事業計画・方針を説明した。

MRGは三井食品、ベンダーサービス、リテールシステムサービスなど物産系事業会社5社が統合し、24年4月に発足。統合初年度の業績(25年3月期単体)は売上高1兆2692億円、売上総利益538億円、経常利益58億円、税引後利益41億円で着地。卸間の競争激化や統合コスト、物流費の上昇もあり、「大変厳しい船出だったが、(グループ横断型プロジェクトなど)統合の新たな芽が出ている」と振り返った。統合2年目となる今期は、「立ち上げフェーズに区切りをつけ、次期中計でのさらなる成長を見据えた基盤確立への重要年度」と位置付け、攻めと守りの両面で取り組みを加速させる。

攻めの戦略では「新規事業の果実化・ビジネスインフラ構築」を挙げ、MRGの特長である原材料・包装資材から物流までの機能を活用し、顧客PB原材料・在庫管理など、モノ売りにとどまらない機能売りビジネスを構築。新たな成長分野では「業務用/低温度帯ビジネス」拡大を目指す。 低温分野では、昨年11月に三井物産が大手外食チェーンの物流を担うHAVIジャパン社(現:三井物産サプライチェーンソリューションズ)の全株式を取得。同社との連携も視野に「物産グループとしてコスト優位かつ安定的な温度帯物流網を獲得し、業務用/低温度帯ビジネス強化につなげる」考えを示した。

今年度から戦略的・機動的な組織体制を念頭に「フード&パッケージングユニット」「三井食品ユニット」「リテールユニット」に再編。旧三井食品ユニットの業務用食材本部を「フード&パッケージングユニット」に移管し低温事業本部を新設。業務用(外食・CVS)向けの食材・包装資材を担う専門部隊として事業拡大を進める。

三井食品ユニットは、全国各地の量販店・ドラッグストアなど小売店向けの食品卸売事業を担い、仕入れ先メーカーとの連携強化、物流コスト抑制による収益力強化を進める。阿部太取締役専務三井食品ユニット長兼商品本部長は「卸としての本質的価値と統合による新たな機能の両軸で継続的な進化を目指す」と意気込みを示した。

新たな取り組みでは、伸長するドラッグストア向けに健康軸での販促提案や、デカボスコアを活用した青果売場でのCO2削減の見える化、ペルー産みかんなど直輸入果実の提案を強化。ペットケア分野の取り組みも広げる。