愛知のみそ、昨年は半減 マルサンアイ撤退で2位から5位に 醤油は2年連続最高位

愛知県の24年のみそ出荷量が23年に比べ半減した。愛知県味噌溜醤油工業協同組合が5月23日に実施した「第72期通常総会」の中で「衝撃のニュース」として報告。愛知県のみそ生産量の半分を占めていたマルサンアイが25年3月に本社みそ工場を閉鎖し、生産を減らしたことなどを受けて24年1~12月の都道府県別のみそ出荷数量は23年に比べ48.4%減少。都道府県別ランキングを2位から5位に落とした。

冒頭、中村光一郎理事長(イチビキ社長)が「72期は、仲間のマルサンアイさんが豆みそづくりをやめられるという衝撃的な出来事があった。また主原料である米の不足で、なかなか手配できない状況もあった。われわれ、醸造関係の食品メーカーとしてやるべきことは、品質を良くし、お客様に喜んでいただける商品を作れるかどうか。また生産効率を上げて、少しでも原価高騰に立ち向かっていく努力をしながら、ちゃんと給料が渡せるように人件費もしっかりとしていかなければならず、価格転嫁をできる限りやり次に備えていきたい会社ばかりだと思う。その情報交換の場にしてもらいたい」とあいさつ。

続く事業報告では、マルサンアイの本社みそ工場の閉鎖に伴い、愛知県のみそ出荷数量が23年の2万8479tから24年は1万4684tまで半減。同社が25年3月31日をもって組合を脱退したことも報告した。

一方でGI表示の「八丁味噌」については「岡崎の組合2社が追加登録され、GI表示が始まり早10年。愛知県全体としての足並みが揃ったようにも思う」と説明した。

愛知県の大村秀章知事
愛知県の大村秀章知事

また、愛知県では愛知発酵食文化協議会が発足し、産官学の取り組みがスタート。さらに、第51回醤油品評会では、「こいくちしょうゆ部門」でイチビキが、「白しょうゆ部門」でヤマシン醸造が、農林水産大臣賞を受賞。愛知県で2年連続の最高位受賞となったことも報告された。

さらに、同組合の事務所がある会館を縮小、駐車場を広げることで賃貸料を増やす計画などが審議され、全会一致で可決承認された。

閉会後の懇親会では、大村秀章愛知県知事が出席し、「みそも、醤油も生産量は全国上位。発酵食品は消費者の関心も高まっており、海外でも日本食の人気が高まっている。発酵食の一環として昨年、発酵文化振興協議会を立ち上げ、観光や文化と結び付けてよりPRできると考えており、一緒に盛り上げていきたい」と話した。

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