3月28日から現職のポッカサッポロフード&ビバレッジの佐藤雅志社長は4月25日、社長就任会見に臨み、レモン事業に一層集中していく方針を明らかにした。
サッポログループが掲げる「中期経営計画(2023~26)」の食品飲料事業のポイントの一つは構造改革。今後も継続するものの2年間で目途がつき財務基盤が整ったことから、強みが発揮できる分野に磨きをかける。
「(中計)残り2年、レモン事業に集中していきたい。生産振興へのチャレンジを一つ考えており、加工技術や研究開発もしなければいけないことがたくさんある。そういうところへやっと投資できるようになった。生産振興を踏まえると10年くらいのスパンで物事を見なければならず、そのあたりの道筋をつけるのが私の仕事」と力を込める。
商品・価値啓発・原料(生産振興)の三位一体でレモン事業を推進し“No.1レモンカンパニー”を目指す。
「レモンの総需要を拡大することでお客様のウェルビーイングに貢献していく。健康価値を重んじるお客様が多く、レモンには様々な機能性が発見されていることから価値を提供できると考えている」と語る。
この考えのもと1月に新設したレモン技術開発部を基点にR&Dを強化していく。
「これまで商品を出すための研究開発が多かったが、今後は基礎研究的なことをやっていく。レモンには(血流促進と体内のナトリウム量の調整の2つの働きがある)ヘスペリジン以外にも機能があるはず。もう一つは、従来の果汁を充填する技術に留まらず、果肉や果皮をもっと有効活用する。ある意味、丸ごと素材の研究ができると思っている」と説明する。
レモンの安定調達に加え、レモンの機能性を突き詰めるためにも、川上に本腰を入れる。
昨年7月、静岡県磐田市と遠州中央農業協同組合とレモン産地形成による地域活性化等を目的とした連携協定を締結。お茶からレモンへの転作を推し進めていく磐田市の方針に実質的な支援をしていく。
三位一体の商品と価値啓発については「『ポッカレモン100』と『キレートレモン』をしっかりと重点ブランドとして伸ばしていく。中でも機能性表示食品を軸足に、啓発活動を含めて取り組んでいきたい」と意欲を示す。

佐藤社長は1989年にサッポロビールに入社後、主に生産畑を歩む。サッポロホールディングス(HD)時代にはDX人材の育成に注力。
「(サッポログループで)200名程度の高度専門人材を育成し、ポッカサッポロの中にも何人か育ってきており、DXの礎ができたと思っている。今後はAIの活用や需要予測などにもトライしていきたい」と述べる。
社長就任時、社員に送った言葉は“100の失敗より1つの後悔をしたくない”。「失敗したっていい。やらないことのほうが、もっとダメで、どんどんチャレンジしてほしいと社員の皆さんには伝えた」という。
趣味は旅行。「時間があるときにいろいろなところを訪れる。オンとオフの切り替えるのが大事だと思っており、そういう意味で筋トレや読書もする」と語る。
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