ツルハ・ウエルシア統合 売上2・3兆円、巨大ドラッグチェーン誕生へ イオンの食品ノウハウ導入

ドラッグストア大手のツルハホールディングスとウエルシアホールディングスは、イオン主導のもとで統合し、売上高2兆3000億円超、約5600店舗の圧倒的な業界No.1を実現する。6年後の目標として2032年2月期に売上高3兆円、営業利益2100億円、営業利益率7%を掲げた。両社は商品調達や物流などでスケールを活かしたシナジーを追求するとともに、イオンのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」を中心とした食品カテゴリーを積極的に導入、強固な「ドラッグ&フード」の確立を目指す。

■「1兆円でも競争力が不足」

4月11日にイオンの吉田昭夫社長、ツルハHDの鶴羽順社長、ウエルシアHDの桐澤英明社長が出席して記者会見を開催した。昨年2月に資本業務提携契約を締結して以降、具体的な方法や条件などを検討・協議してきたもの。12月1日を効力発生日としてツルハHDがウエルシアHDを完全子会社化する。イオンはツルハHDの株式を追加取得し、来年1月までに議決権割合で50・9%を目指す。ツルハHDは上場を維持し、ウエルシアHDは上場廃止となる。

席上、イオンの吉田社長は「ドラッグストア業界は直近20年で急成長を遂げたが、足元では勢いに陰りがみえている。2社は現時点で食品の構成比が低いものの、逆に考えれば将来的なポテンシャルが大きいと言える。統合によって新たな成長のフェーズに入っていける」と期待を語った。

成長戦略について、鶴羽社長は「店舗数の拡大にはこだわっていない。もちろん2社が手薄なエリアやドミナント強化が必要な場合は積極的に出店していくが、既存店の食品を強化するなどスクラップアンドビルドで1店舗当たりの売上はまだまだ拡大できると考えている」とコメント。

桐澤社長は「ドラッグストア業界は近い将来に売上1兆円でも競争力が足りなくなる。統合でスケールメリットを発揮し、ヘルス&ウエルネスに関わる高次の商品やサービスを広く届けられるようにしたい」と述べた。

3社によるスケールを活かしたシナジー効果は3年後までに500億円を見込む。商品調達や物流などサプライチェーンの最適化に加え、ツルハは日用雑貨、ウエルシアは調剤に強みを持って互いを補完し合い、イオンの食品を取り込んでいく。

データ活用においても強力な相乗効果を想定。ツルハとウエルシアを合わせたポイントメンバーなど会員数は4000万人超、顧客接点数は1億人超に膨らむ。さらにイオンのユーザーを加え、デジタル起点によるマーケティングを推進する。

3社は海外展開も視野に入れる。イオンのASEANにおける基盤を活用し、将来的に国内のみならずアジア№1のグローバルドラッグストアチェーンを目指す。

ツルハHDは12月に統合後の中期経営計画を発表する予定。

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