6.7 C
Tokyo
3.9 C
Osaka
2025 / 12 / 16 火曜日
ログイン
English
トップニュース原料高騰 代替品でコスト抑制 価値と顧客の創出にも

原料高騰 代替品でコスト抑制 価値と顧客の創出にも

農産物の不作などに起因する原料高が続く中、メーカーや卸は代替品の活用など、コスト低減へ向けた提案に力を入れている。価格の抑制だけでなく、価値の創出や顧客層の広がりも期待する。

国分西日本はこのほど大阪市で開いた展示商談会で、スーパーの惣菜売場へ向けたコスト対策を提案した。例えば、天ぷらには小さめのサツマイモ、炊き込みご飯には一部が欠けたアサリなど規格外の素材を利用。海苔は生産者から直接買い付けた原料を使用するなどしてコストダウンを図り、“お値打ちデリカ”として販売する。

低温フレッシュデリカ事業部は「値上げラッシュの中、持続的な販売につながる」と話す。コメの高騰に対しては、大麦を加えた米飯により原価低減だけでなく、健康訴求を強め付加価値の向上を狙う。

精麦の石橋工業(福岡県筑後市)は同様に、もち麦に注力する。もともと健康志向を背景に右肩上がりを続けてきたが、昨年のコメ不足以降、需要が急増。特に麦特有の穀物臭が少ない「九州産もち麦」が食べやすいと評価を得て、スティックから大容量のピローへのシフトが進んでいる。

本来は健康のためコメに混ぜて使われていたが、コメの価格が上がった昨今は「茶碗一杯当たりのコストを抑えるため」(同社)に利用される場面が増えた。そこから本来の健康志向も捉え、「新たなリピーターが生まれている」という。スーパーの惣菜や弁当店など、業務筋の引き合いも増えている。

不足する北海道産に替わり仏産でん粉を使用
不足する北海道産に替わり仏産でん粉を使用

パン粉・片栗粉の雪和食品(千葉県松戸市)はフランス産のでんぷんを使った「冷めてもおいしい片栗粉」を商品化する。北海道産馬鈴薯でんぷんは23年度に過去最低の生産量となり、24年度も作付面積は増えず厳しい状況にある。そのため、国産片栗粉の供給不足が続く。

一般的にヨーロッパ産はとろみが弱いと言われるが、同商品に使われるでんぷんは高い粘性を持つのが特徴。今後も北海道産原料を使った製品の供給難が続くと予想される中、市販用として発売する。同社は業務用中心のメーカーだが、「プロ御用達の商品を安定的に販売したい」と同商品で家庭用の販売を強化する考えだ。

農産物に限らず、飼料の高騰などで畜肉の価格も上がっている。日本アクセスは岡山で開いた展示会で、生鮮売場向けの提案を展開した。このうち畜産は、カナダ産の大貫豚(親豚)を紹介。一般的に硬いと言われる大貫豚だが、スライスや味付などにより食べやすく加工することで、そのイメージを払拭する。担当者は「実際に試食してもらうと好評だった。店頭売価を抑え販売できる」とアピールしていた。

関連記事

インタビュー特集

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。