日本酒輸出 再び成長軌道へ 総需要1割超が海外向け

日本酒の輸出が順調に拡大している。2024年は金額、数量とも2年ぶりに前年を上回った。23年こそ環境変化による反動減で足踏みしたが、金額は10年前比で約3.7倍、5年前比で約85%増と長期的なアップトレンドの最中にある。国・地域によってバラつきが見られるものの、欧米やアジアを中心に再び成長軌道に乗ってきた。

日本酒の輸出額は24年(1~12月)で434.7億円、6.4%増だった。数量は3.1万㎘、5.8%増。日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事は「日本酒のマーケットは約4000億円と推定されるが、輸出比率が1割を超えてきた。これは数量シェアの約7%を上回る。インバウンドを含め、海外に高級酒を販売していくトレンドができつつある」と話す。

国・地域別では、アメリカが約114億円、25.9%増と回復。インフレの影響を受けながらも底堅い需要をみせた。中国は景気後退を主因に約116億円、6.3%減と伸び悩み、香港は約51億円、15.1%減と苦戦。韓国はインバウンドとの相乗効果などで約37億円、29.1%増と過去最高を更新した。EU・イギリスも約27億円、16.2%増と順調。現地で日本食の普及とあわせて拡大傾向にある。

宇都宮理事は中長期の展望として、「政府が掲げた25年目標の輸出額600億円は中国の10都県に対する輸入規制等もあり達成は難しい」としながらも、「長期的にインバウンドを含めて800~1000億円へと引き上げていくことは可能。日本酒市場4000億円のうち20~25%が海外向けになっていくのでは」などと述べた。

足元の課題には各国で異なるアルコール製品の輸入・販売に関する制度に加え、「国際物流コストの上昇」「為替変動」「消費者に届くまでの品質の維持」を挙げた。

中央会は「日本酒のブランド確立」「正しい理解の普及」「認知度の向上」を目指し、海外の展示会やイベント等に数多く参加。フランスソムリエ協会、国際ソムリエ協会とそれぞれパートナーシップを締結しており、主要国のソムリエらへのアピールも続けている。

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