アヲハタは、基幹商品のジャム「アヲハタ 55」シリーズの全10品を刷新し、基盤事業の再活性化に挑む。初の試みとして、一番人気のイチゴを春夏・秋冬限定の2種展開とした。2月6日に東京オフィスで開いた発表会で山本範雄社長は「今年は55ジャムシリーズの発売から55周年の節目。100周年を見据えて、新たな挑戦をスタートしたい」と意気込みを語った。
「55」刷新の方針について藤原かおり取締役マーケティング本部長は「朝食の主食はパンが35%で最も多い。そこで新たなキャッチコピーを『厚く白いパンのために生まれた made for sliced white』と定めた。全品ともフルーツの濃さをより強く感じられる設計にし、『パンの最高の相棒』としてさらに進化させた」と説明。
佐川健志取締役営業本部担当は「当社はシェア約32%を占めるジャムのトップメーカーとして、市場全体を牽引する立場にある。最も支持されている『55』シリーズのリニューアルはジャム業界にとっても大きな出来事」と付け加えた。
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「アヲハタ 55」は1970年に日本初の低糖度(糖度55度)ジャムとして発売。その後も果実感の向上やさらなる低糖度化などでおいしさを磨いてきた。刷新にあたって「四季が存在する日本だからこそ、旬の味わいを大切にしていきたい」(山本社長)との考えから、看板商品であるイチゴの2種展開に挑んだ。
春夏限定販売の「さわやかブレンド」(2~8月順次出荷)は11~5月が収穫期の南米チリのイチゴを主原料とする。さわやかな香り、艶があり濃い赤色、しっかりとした肉質が特長。風味の立ち上がりが早く持続時間が短いため、味わいがスッキリとしている。
秋冬限定「濃厚ブレンド」(8~2月順次出荷)は5、6月収穫の中国産イチゴをメーンに使用。従来品よりも風味が長く持続し芳醇で深みのある味わいに仕上げた。
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山本社長は「様々な品種のブレンド技術、素材の香りを包み込む技術で季節に合うおいしさが実現できた。南北半球それぞれに調達拠点を構築し、気候変動リスクの低減と原料在庫の削減も達成できた」と話す。
パッケージデザインも全品刷新。本社と工場を構える瀬戸内の風と波をブルーで表現したキャップに改め、びんの肩部には瀬戸内海の水面のきらめきをイメージした装飾を施した。スティックタイプ(13g×4個入)は新たにイチゴ(2種)、オレンジママレード、ワイルドブルーベリーを展開。外装素材に紙を使って環境に配慮した。
4月1日からテレビCMを全国放映するほか、需要期である春先に全社一丸で店頭露出に注力して、リニューアルの背景まで消費者に伝える。佐川取締役は「ジャム消費は朝食が80%以上。登場頻度が高い食品は食パン・ヨーグルトで合計75%。そして夏場はパンとともに需要が減少する。朝食以外や、食パン・ヨーグルト以外の組み合わせ、『冷やしジャムロール』など夏場のメニュー提案に力を入れたい」と力を込めた。
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