常圧凍結乾燥の新技術でドライフルーツ 洋菓子への活用紹介 パナソニック

パナソニック くらしアプライアンス社は、新たな食品乾燥技術「常圧凍結乾燥技術」(特許出願中、以下AFD)によるドライフルーツを活用した洋菓子の試食会をこのほど大阪市内で開催した。

ドライフルーツで一般的な熱風乾燥技術(AD)による商品より、栄養成分の変化が小さく、色見も良く、食感がしっとりしているのが特徴で、洋菓子を開発したパティシエは「規格外で廃棄せざるを得なかった果物など、新たなサステナブル食材として生かせる」可能性も示唆した。

AFDは、同社が冷蔵庫の技術から開発した新たな乾燥技術。常圧で湿度の低い冷気を当てながら冷凍過程の乾燥状態を制御して食品を乾燥させるもので、従来の乾燥技術で処理した食品とは、色や香り、食感で優位性があるとされる。

同技術の発表は23年3月末に実施し、以降は調味料や果実などの企業から問い合わせがあったが、「フルーツとの相性が特に良かった」(同社)ことから「フルーツへの集中に舵を切った」(同)とし、今回に至った。

AFDと既存の乾燥技術の違いは、ADとの違いは前述した通りだが、乾燥時間はADが数時間~数十時間であるのに対し、AFDは5~7日かかるマイナス面もある。

また、インスタント味噌汁などで商品化されている真空凍結乾燥(フリーズドライ=FD)による食感の特徴はサクサク感であるのに対し、AFDはしっとりソフトな食感なのでフルーツに向いているとも言える。

同技術で乾燥する機械は冷蔵庫程度の大きさを想定しており、乾燥させたフルーツはいちごの赤味がしっかり残るなど色味が良いことから、茶色系が多い焼菓子の見た目を華やかに演出できる。

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