ニップンは2日、都内の綱町三井倶楽部で記者懇談会を開催、上期業績を報告するとともに各事業の概況と中計の見通しについて、前鶴俊哉社長以下、各事業のトップが説明した。
冒頭のあいさつで前鶴社長は今期ここまでの業績を振り返り「基本的には順調だが、諸コスト高、円安も解消されておらず調達コストも掛かっている。予断が許される状況ではない」と気を引き締め、中計については「売上高5000億円、利益250億円という数値目標だけでなく、従業員のウェルビーイングをしっかり実現し社会貢献につなげたい」と強い決意を表明した。
また中期的な設備投資については、ベトナムでの製粉工場建設のほか、今後研究開発拠点の必要性についても言及。パスタとプレミックスの製造設備に投資し、今後の需要増加に耐えうる準備を整えたいとした。
サステナビリティについては環境対応においてGHG(温室効果ガス)削減目標を定め、来年度から目標実現に向けた工場への投資も進める。また国内農業については、国産麦の生産を増やすための支援を継続していく方針だ。
各事業説明では、製粉事業で木村富雄専務が量的には過去最高レベルの出荷となったものの麦価値下げもあり減収減益と説明。その一方で限界利益率は上昇しており事業の経営体質がさらに強まっていると述べた。中計については市場拡大、生産効率向上・物流改善推進、製造拠点の新設・再配置による生産性の向上と3つの戦略を軸に進める。
続いて川崎裕章常務が食品素材、加工食品、冷凍食品事業について説明し、刀社のマーケティング手法を食品素材部門でも活用し外食産業にニーズ提案を強化するほか、同社が目指すマスターブランド戦略を構築し「美味しさならニップン、のメッセージを消費者に直接届けていきたい」と述べた。
成長領域の一つに掲げる海外事業については飛鷹裕之海外事業本部長が説明。
中国、タイ、インドネシア、米国、ベトナムの5拠点で既存事業の販売拡大を図る。ベトナムは今年7月に現地法人を設立、来年プレミックス工場が稼働を開始する。米国製粉事業ではユタ製粉の稼働を含めてシナジーを追求するとともに、国内からの輸出増加で売上高の大幅増を計画している。