加藤産業は今期、増収減益を予想する。新工場設立による償却負担や情報システム投資の継続に加え、消費者の生活防衛意識がより強まっていることなどから「過去にない厳しい予想」(加藤和弥社長)を示した。
前期(24年9月期)の営業収益は予想を上回り6.4%増加したが、販管費率は5.7%で前年より0.1ポイント上がり、営業利益率は1.4%で0.1ポイント下がった。加藤社長は「卸売事業は比較的堅調だった一方、新工場の償却負担と海外事業が想定より厳しく、増収微増益という結果になった」と振り返る。
卸売事業について「第4四半期は少し持ち直したものの、それまでは四半期ごとに厳しさが増していた。価格改定で売上と粗利が伸び、物量が落ちていく中で経費を抑制できていたが、2024年問題を含め上昇圧力が効いて経費も伸びる状況になった」と指摘。
今後については、「商売そのものが一筋縄ではいかなくなっている」とした上で、次の通り述べた。
【消費動向】値下げという動きが出ているが、一方でコストが上がり続けるのは間違いないので、継続して価格を下げることは難しい。ヒアリングすると、安く売るというより、そもそも低価格な商品のウエートが少しずつ増えているという感覚だ。特にコメが上がってから節約志向が顕著になった。低価格品が増えると、結果として物流が収益的に厳しくなる。
【投資見込み】前期の投資額は93億8000万円、今年度は100億円はゆうに超えるレベルになる。長期計画の中、全国で新しいセンターを進めており、26年度ごろから順次稼働する予定。この3~5年は投資がかさむ時期になると考えている。
【海外事業】国内市場がシュリンクするのは以前から分かっていたので、それを踏まえ海外進出しそれなりの規模になった。ビジネスモデルは若干違うが、一定レベルの存在感がある卸売業に売上がつく傾向がある。進出した国において、信頼されるディストリビューターという位置付けをしっかり作り上げることが収益基盤となり、次の成長にもつながる。
特にベトナム、マレーシアは平均年齢が若く、国としての成長が見込めるので、しっかり取り込むことが大事だ。