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逆光線(コラム)「慣れ」に頼るのではなく

「慣れ」に頼るのではなく

中年になってから電車通勤が日常化したせいか、通勤ラッシュは恐怖でしかない。弱気な気持ちでホームに立った日は、乗れずにやり過ごしてしまうこともある。乗ったら乗ったでリュックを前掛けにして鞄の上で携帯電話を眺めている乗客の多さに辟易する。

▼混雑時の大きな荷物は足元に置く、網棚に置く、手に持つ、のいずれかがマナーだったと思うが、もはや消滅したのか。

▼そんな時、ドストエフスキーの箴言「人間はどんなことにも慣れる動物」を思い出す。過酷なシベリアでの獄中生活を通じて得た箴言なのだろう。私たちは社会変化の中でマナーを失うことにも「慣れ」てしまう。異を唱える人も存在するけれどごく少数であり、概ね「慣れ」て受け入れる。

▼社会経済がインフレ基調で進んできたなか、食品もずいぶん価格改定が進んだ。だが、すべてのコスト高を吸収しているとは言い難い。業界の流れから一周遅れ、二周遅れのカテゴリーも少なくない。「慣れ」頼りに価格改定するのではなく、この国の食を取り巻く環境を説明することもマナーだと思われる。

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