伊藤園「タリーズコーヒー」でペットボトルコーヒーに再挑戦 若年層獲得へコーヒーしっかり感じられて苦み抑えた新シリーズ展開

 伊藤園は「TULLY’S COFFEE(タリーズコーヒー)」ブランドからコーヒーがしっかり感じられつつ苦みを抑えた新シリーズ「AROMA ESPRESSO(アロマエスプレッソ)」を立ち上げペットボトル(PET)コーヒーに再挑戦する。

 旗艦アイテムの「BARISTA’S(バリスタズ)」シリーズのボトル缶では取り切れなかった若年層獲得が狙い。

 「アロマエスプレッソ」は、コーヒーの香りとコクを持ちながらも、苦みを抑えたのが特長。

 9月4日、発表会に登壇した伊藤園の相澤治マーケティング本部コーヒーブランドグループブランドマネジャーは「飲みやすさの裏に、しっかりとコーヒーのコクと香りがある新商品。『タリーズコーヒー』のおいしさを、より多くのコーヒー愛好者の皆様にお届けする」と力を込める。

伊藤園の相澤治マーケティング本部コーヒーブランドグループブランドマネジャー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
伊藤園の相澤治マーケティング本部コーヒーブランドグループブランドマネジャー

 「カフェラテ」「クリアブラック」「ノンシュガーラテ」の3種類を取り揃え、9月9日に発売開始される。容量はいずれも500ml。

 ショップブランドのPETコーヒーが拡大傾向にあることを受けて、「タリーズコーヒー」のショップブランドを冠にしたPETコーヒーで若年層獲得に挑む。ボトル缶をメインにしてきた「タリーズコーヒー」ブランドとしては大きな挑戦となる。

 「以前発売したPETコーヒー商品は、少し尖ったものが多かった。改めてお客様のニーズに立ち返り、タリーズコーヒージャパンの知見を取り入れて再挑戦する好機だと捉えている。苦みが苦手というお客様はコーヒーユーザーの約半数と規模が大きいため、しっかりお伝えしていく」と意欲をのぞかせる。

 インテージSRI+推計販売規模の金額ベースによると、量販店のパーソナルPETにおけるショップブランドの伸長率は、2023年に19年比176%増と約3倍にまで拡大している。

 「かつて主役だったSOT缶が減ってPETコーヒーが伸長するなか、ショップブランドの構成比が高まっている」とみている。

 旗艦アイテムのボトル缶「バリスタズブラック」は、コーヒーの濃さや苦みが支持される一方で、コーヒーの苦みを好まないユーザーも多く存在していることが浮き彫りになった。

 相澤氏は外部データを引き「コーヒー飲料のお客様の嗜好を見ると、実は半数の方は苦みが強い味わいが苦手だとわかった。さらに、伸長するPETコーヒーユーザーは若年層が多く、若年層は“香りとコクはあるが、苦みの少ないコーヒー”を好むことがわかった」と説明する。

 このような見立てからPETコーヒーを飲用する若年層に向けて、ボトル缶とは異なるアプローチを仕掛ける。焙煎と抽出で工夫をすることで、香りやコクはあるが苦みを抑えた味わいを実現した。

 「ゆっくりじっくり丁寧に焙煎することで、コクと香りを引き出しながら、苦みを抑えた。抽出では一部に『アロマエスプレッソ製法』を採用した。複数の抽出機を使用し、高温高圧で時間をかけて抽出することで、香りをそのままボトルに閉じ込めた」と胸を張る。

 最大の特長はコーヒーの自然な香り。

 「ただコーヒーの香りが強ければいいというわけではなく、飲みやすいけれど淹れたてのコーヒーアロマが香る、という点が強み。香ったアロマを液中に閉じ込めることで、不自然に強い香りではなく、自然な香りという点を意識して開発した」と語る。

 PETコーヒーで構成比が高い「カフェラテ」には、沖縄県産黒糖蜜を使用しまろやかな甘みを実現。

 「クリアブラック」は、苦みがあまり得意ではないユーザーでも飲みやすいブラックコーヒーとして仕立てた。

 「ノンシュガーラテ」は、ボトル缶「TULLY’S COFFEE BARISTA’S」シリーズで人気の「無糖LATTE」と同様に、砂糖不使用でミルクのみ加えた無糖のラテとして展開する。