全国海苔問屋協同組合連合会(小林善昭会長)は5月に札幌で開催した6年ぶりの全国大会で、2年連続の50億枚割れとなった海苔業界の課題を共有し今後の発展に向けた危機の向上を図った。
大会では、物故者の追悼に続いて北海道海苔問屋協同組合の青田孝志理事長が開会のあいさつで「海苔屋の底力をテーマとしたこの全国大会が海苔業界の将来を一人ひとりが真剣に考えるきっかけとなれば」と述べた。
次に小林会長があいさつに立ち、海苔業界の苦況に言及。
「2年連続の赤潮で有明海が大不作となり、一時は100億枚あった国内生産量は、前漁期・今漁期とも半減している。それに伴い平均単価は従来のほぼ倍の水準まで高騰した。共販金額も22年ぶりに1千億円を突破。韓国海苔の相場が倍近くに暴騰し、中国も下物を中心に高騰している。円安の影響のみならず世界的に日本食が普及して、海苔の需給バランスが大きく変化した結果だ。海苔産業のビジネスモデルは歴史的大転換期を迎えている。この厳しい時代を乗り越えていく鍵は、海苔屋の底力にある。先人たちも幾度となく底力を発揮してきたはずだ。海苔産業発祥の地である日本の海苔業界として、生販一体となり、再び繁栄の道を歩もう」と語った。
来賓祝辞では山田雄哉全国漁業協同組合連合会販売事業部長が「漁獲生産量の大幅な減少は危機的な状況だと認識している。生産者や漁協・漁連とともに海洋環境回復に向けた支援の拡充などを与党に求めている。この厳しい状況を海苔問屋の皆さまとともに乗り越え、海苔の安定供給を図りたい」と意気込みを述べた。
また18年から23年までに紫涛賞を受賞した51人を代表して、服部義博浜乙女社長が表彰状を受け取ったほか、東北海苔問屋協同組合の立谷一郎理事長が閉会のあいさつをし、大会を締めくくった。
大会後には講演会が開かれ、日隈美朱富山大学助教が「パラダイムシフトを海苔越えよう 減産時代を生き抜き次の世界へ」と題して講演した。
学生を対象に実施したアンケート結果を踏まえて、これからの海苔消費を担うZ世代の消費動向を分析し、マーケットイン型商品開発の重要性を説明。
また佐賀有明海漁協会員の若手生産者らとオンラインで会場につなぎ、赤潮・色落ちへの現地の対策など、次の漁期に向けた取り組みを参加者たちと共有。質疑応答では「子どもに海苔漁師を継がせたいと思うか」という問いに「本人が望むなら」と答える場面もあり、長期的な海苔生産への危機感を共有する場となった。
全国大会は今後、3年に1度から4年に1度に開催タームを変更することが大会前に開かれた総会で提案され、満場一致で決議された。次回の全国大会は2028年の開催となる。