J-オイルミルズの佐藤達也社長は、このほど開いた決算説明会で「前期決算では20年度以前の利益水準に回復することができた。引き続き構造改革を進めるとともに、おいしさ×健康×低負荷による提供価値の最大化や海外展開など、さらなる成長拡大に向けた取り組みを加速させる」との考えを示した。
同社の前期決算は売上高2千443億円、前年比6.2%減収だったが、営業利益72億円(前期比986%)、経常利益90億円(同629%)と大幅増益を達成。原料価格の軟化と付加価値製品の拡販により、油脂事業の収益改善が進んだことに加え、スペシャリティフード事業では課題となっていたマーガリン事業の黒字化を達成。市場縮小が続く家庭用マーガリンからの撤退(24年3月)や業務用マーガリンの生産効率化など、構造改革の取り組みが成果を挙げた。
スペシャリティフード事業のうち、乳系PBFは減収だった一方で、機能性スターチ「テクスデザイン」をはじめとする食品素材が二ケタ増と好調。食品素材の売上高は初めて100億円を突破し、「(加工食品や惣菜製品の食感改良など)油脂とスターチを組み合わせたソリューション提案により、お客様との取り組みが広がっている」と手応えを示した。
将来に向けた成長領域と位置付ける海外事業では、昨年夏に専任組織を設置。アセアンではグループ企業や日系企業との協働で油脂加工品やテクスチャー素材の展開を加速するとともに、北米市場では味の素グループとの連携を強化する。
「ビオライフ」9月で終売
構造改革の取り組みでは、植物性チーズ「ビオライフ」製品を9月で終売することを決定。「欧州からの輸入チルド製品のため、販売予測と在庫管理が難しかった。今後は大豆ミートなど、(当社の経営資源を生かせる)食品素材分野を中心にPBFの展開を図っていきたい」(上垣内猛取締役専務執行役員COO)と語った。