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流通・飲食小売上場が検討されるヨーカ堂が生き残る道とは? 山本哲也社長が語る

上場が検討されるヨーカ堂が生き残る道とは? 山本哲也社長が語る

 セブン&アイ・ホールディングスにより株式の上場が検討されるイトーヨーカ堂(IY)は今期(2月期)、成果が出てきている構造改革(抜本的改革)を着実に推進するとともにトップライン(営業収益)を追求していく。

 4月10日開催されたセブン&アイHDの決算説明会でIYの山本哲也社長は「今進めている抜本的改革をまずやり遂げる。販管費の見直しや生産性の改善で一定の成果が見えてきており、こういったものを原資にやはり次はトップラインを上げていく」と語る。

 トップラインを上げる体質に改善するための成長戦略への投資として、店舗改装や食品事業の底上げに取り組む。

 食品事業の底上げには、セブン&アイグループ初の共通セントラルキッチン「Peace Deli千葉キッチン」をフル活用するとともに、新ブランド「ヨーク・デリ」を立ち上げ複数あったブランドを「ヨーク・デリ」に一本化して「食品の中でも特に惣菜を一番伸ばしていく」。

イトーヨーカ堂の山本哲也社長
イトーヨーカ堂の山本哲也社長

 ただしスーパー業態を取り巻く環境は厳しいと山本社長はみている。
 「物価上昇や生活防衛意識が高まる中で、特に価格敏感層の離反や、人流回復で外食などへ(顧客が)戻ったことによって買上げ点数が伸びない傾向にある」と説明する。

 IYもこうした逆風下にある。その上、首都圏フォーカスの方針のもと、店舗数を計画的に閉鎖していることから「(売上げは)トータルでは伸びていないのが実情」という。

 店舗数は昨年2月末の126店舗から3店舗閉鎖し前期123店舖。2025年度にはこれを当初計画通り93店舗にまで減らしていく。

 自主アパレル事業からの撤退は、計画店舗数に対し高い進捗率で行われている一方で、「春夏商品から商品の入れ替えや売場の拡縮などを進めたところ、上手く来店動機がつくれず、食品との買い回りに対してマイナスの影響があった」と述べる。

 構造改革の途上にあり、全体の客数や売上げが足踏み状態にある中で「改装店については我々が期待している通りの成果が出ており、客数もトップラインも伸びている」との手応えを得る。

店内改装したイトーヨーカドー大森店(東京都大田区)
店内改装したイトーヨーカドー大森店(東京都大田区)

 店舗改装では、「Peace Deli千葉キッチン」をフル活用することで店内調理場(インストア比率)を削減。その削減分を惣菜売場に充ててオリジナル商品などの品揃えを拡充している。

 インストア比率は下げることが目的ではなく、アウトパックで工数を減らした分を今までインストアでやりたくてもできなかった新メニューに工数をかけていく。

 「製造とお店のレイアウト、改装などを一気にやることで十分トップラインを伸ばせる」と自信をのぞかせる。

 惣菜のオリジナル商品拡充ほか「アカチャンホンポ」や「LOFT(ロフト)」の導入強化、シェルガーデンとのコラボによって手薄な30‐40代ファミリー層の集客を図っていく。

 セブン&アイのスーパーストアセグメントから中国のIYなどの事業会社を除いたIYとヨークベニマルを中心とするSST(スーパーストア)事業の前期EBITDAは前年比6%増の499億円。うち首都圏SST事業は8.8%増の187億円となり、ともに期首計画を達成した。

 今期は、首都圏SST事業で50.8%増の282億円、SST事業で13.4%増の566億円を計画する。
 「2024年度は、首都圏SST事業の2025年度550億円以上のEBITDAを達成するために極めて重要な年」(セブン&アイの丸山好道取締役常務執行役員)と位置付けている。

 検討される株式上場について、山本社長は「今後はSSTとしての独自の必要な投資というものを、我々自身が方向性を決めていかなければ、変化する中で競合には勝てない。自らの資本で自ら投資していくことが最大の意義。逆に言えば、これをしなければ持続的な成長にはつながらない」との見方を示す。

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