歯を失う原因第一位の「歯周病」防ぐには ロッテが発信

 歯を失う原因の第一位は歯周病であり、歯周病は100以上の全身疾患と関係している――。

 大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学講座の天野敦雄特任教授は5月14日、ロッテが主催したセミナーでこう指摘する。

 歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患。歯ぐきや歯を支える骨などが溶けてしまう病気で、「人類史上最も感染者数の多い感染症」として、2001年にギネス世界記録に認定されている。

 公益財団法人8020推進財団の調べによると、歯を失う原因の第1位は歯周病で、37.1%と高い割合となっている。

 天野特任教授は「歯周病は自然と治るものではなく、永久歯は一度失うと二度と生えてこない。さらに、歯周病は糖尿病など全身の疾患とも関係があることがわかってきている」と警鐘を鳴らす。

 歯科医院への定期受診を行わない人が多いことにも触れる。

 「歯周病はサイレントディジーズ(Silent Disease:静かなる病気)とも呼ばれ、自覚症状が少ない。歯科医院は“痛くなったら行く場所”と思う人も多いが、“痛くならないために行く場所”と考えてほしい」と呼びかける。

 歯周病を予防するためには、定期的な歯科医院への受診やセルフケアを推奨。「歯磨きや歯間ブラシなどでのケアほか、ガムも良い。歯ぐきを守る成分が含まれているガムもあり、噛んで唾液を出すことで口の中を清潔に保つことができる」という。

左からロッテの大澤謙二中央研究所噛むこと研究部部長補佐、大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学講座の天野敦雄特任教授、ロッテの山本賢一マーケティング本部ブランド戦略部キシリトールブランド課課長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左からロッテの大澤謙二中央研究所噛むこと研究部部長補佐、大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学講座の天野敦雄特任教授、ロッテの山本賢一マーケティング本部ブランド戦略部キシリトールブランド課課長

 ロッテの大澤謙二中央研究所噛むこと研究部部長補佐も「歯周病を防ぐには、歯垢を除去し、歯周病の原因菌をなるべく増殖させないことが重要」と述べる。

 大澤部長補佐は、日常に取り入れやすい食品で歯ぐきの健康をサポートできないかと考え、有効な成分のある天然素材がないかを調査。5年にわたる研究の結果、ユーカリ抽出物に歯周病菌の生育を抑える効果と歯垢の生成を抑える効果があることが判明したという。

 「ユーカリ抽出物配合のガムと無添加のガムでヒト試験を行ったところ、歯垢の生成を抑制する効果、歯ぐきの健康効果に有効性があることがわかった。長期摂取や過剰摂取の安全性についても安全性が確認された。市場あるユーカリ抽出物を使用している商品をぜひご活用いただきたい」と語る。

 「キシリトール」などのブランドを展開するロッテは、今後も口腔ケアに関する情報を発信し、生活者の健康をサポートしていく。

 ロッテの山本賢一マーケティング本部ブランド戦略部キシリトールブランド課課長は「2025年に国民皆歯科検診の導入が検討されていることや、各種啓発によってお口の健康に対する関心が高まっていると考える。長年お口の健康に関する研究を続けてきたロッテも引き続き歯と歯ぐきの健康に関して啓発を進める」と意欲をのぞかせる。

 直近では、6月4日から始まる「歯と口の健康週間」に合わせて、生活者に向け歯と口の健康に関する啓発活動を行う。