飲料系飲料無味のミネラルウォーターが若年層に好まれる理由 23年過去最高の販売実績を記録した「サントリー天然水」 ブランドの牽引役は天然水本体

無味のミネラルウォーターが若年層に好まれる理由 23年過去最高の販売実績を記録した「サントリー天然水」 ブランドの牽引役は天然水本体

2023年の「サントリー天然水」ブランドの販売数量は、前年比7%増の1億3830万ケースとなり過去最高を記録した。

土台となるナチュラルミネラルウォーター(天然水)の「サントリー天然水」本体が成長したことに加えて、「きりっと果実」シリーズと「特製レモンスカッシュ」の展開品の好調が拡大を後押した。

天然水が伸びている背景について、4月10日取材に応じた佐藤匡ブランドマーケティング本部課長は「亜熱帯化による気温上昇に加えて、あくまでも我々の仮説ではあるが、洋食化もあると考えている。お米を中心とした和食には水分が多く含まれているが、洋食は和食ほど水分を含まず味つけも濃いものが増えている」との見方を示す。

佐藤匡ブランドマーケティング本部課長
佐藤匡ブランドマーケティング本部課長

購買層については「あらゆる層が満遍なく伸びているが、その中で10代・20代の若年層の伸びがコロナ禍以降、他の世代と比べて少し高くなっている」という。

若年層に好まれる理由としては、健康や美容意識の高まりに加えて無味を挙げる。

「私も現職に就き天然水の飲用機会が増える中で“味がないほうが楽”という若年層の気持ちが理解できるようになった。今の若年層は、家庭内に2LPETの水の常備が当たり前の世代であるため、“無味の水に抵抗がない”というのがベースに、健康意識や美意識の高まりによって飲用量と飲用頻度が拡大している」とみている。

また、パーソナルユースとして1Lサイズにも着目する。

「そもそも『サントリー天然水』の飲用量が少しずつ増えているが、特に1Lの調子がいい。500mlや2Lとカニバリを起こすことなく、1Lのお茶などからの流入の動きもみられることからNBとしてコスパがよいものに受け止められている可能性がある。朝に多く買われる傾向も見られ、オフィスなどに置かれ1日かけて飲まれていることが推察される」と語る。

「ウォーター・ポジティブ」という概念を前面に押し出したコミュニケーションでも若年層支持拡大の手応えを得る。

「ウォーター・ポジティブ」は、水の使用量を減らすだけではなく、取水量以上の水を水系に積極的に育んでいく考え方で、海外では注目されつつある。

「ウォーター・ポジティブ」のコミュニケーションは、23年6月から「新しい地図」を起用したCMを放映。同12月から芦田愛菜さんを起用したCMを放映している。

「『ウォーター・ポジティブ』の好意度は全体的に高いが、中でも若年層の好意度が高い。学校教育でSDGsが染み付いている世代なので受入れやすいのかもしれない」と述べる。

各世代へのコミュニケーション全般の手応えについては「『サントリー天然水』が水資源に対してよいことをしていることは以前に増して理解されるようになったが、森を育むことで天然水が生まれることは伝わりきっておらず、TVCMだけに頼らず伝えていく必要がある」と説明する。

商品を通じた啓発も強化の構え。「サントリー天然水」のラベルデザインを変更して6月以降順次発売していく。

新デザインは「ウォーター・ポジティブ」に込めた想いをより分かりやすく伝えることを意図している。

関連記事

インタビュー特集

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。