近年は地産地消の推進で食品スーパーの地場野菜コーナーの需要は右肩上がり。農業が盛んな愛知県では、5月に旬を迎えるトマトなど地元産の農畜産物の生産・消費拡大に向けた様々な取り組みが進む。
愛知はトマトの産出額全国3位と生産が盛んな一方、野菜の摂取量は全国の平均を大きく下回る。地元農畜産物の消費拡大を推進するJAあいち経済連では、イオンリテール東海カンパニーと連携し、名古屋学芸大学(日進市)の管理栄養学部の学生を対象とした「お弁当レシピコンテスト」を実施。同大の鈴村華菜さんが考案した「愛知県産トマト使用の麻婆丼」を採用し、県内のイオン・イオンスタイル33店舗で4月24日から5月21日まで限定販売している。
JAあいち経済連では講義や工場見学などで交流のあった名古屋学芸大学の学生に、県内産のコメ、野菜、肉を使ったレシピを開発、販売してもらうことで消費拡大につなげていく。麻婆丼は愛知県のコメの主力品種「大地の風」、トマトの酸味をアクセントに加え、厚揚げを使用することで食べ応えをプラスし、隠し味に地元の調味料八丁みそを使用した。
商品発売に合わせた表彰式が4月24日、イオン熱田店で行われた。イオンリテール東海カンパニーの岡晋司食品部長から表彰状、JAあいち経済連の中野修常務理事から「お米1年分」(60㎏)が贈呈された。
鈴村さんは「幅広い年代で食べてもらえる味付けにした。ぜひ手に取ってもらいたい」。岡食品部長は「愛知県産のコメ、野菜、肉のおいしさや食べ方を提案するため惣菜での提供も方法の一つ。持続可能な食をMZ世代に訴えていきたい」と話した。
一方、北海道産や愛知県産などのご当地トマトケチャップを展開するコーミは22年から、加工用トマトの自社栽培に取り組む。
国産加工用トマトの生産者や面積は農家の高齢化で減少傾向。従業員が部署を問わず仕事の合間に農地での作業に参加する「半農半X」で行い、新たな栽培技術の模索・提案を通して、農家の支援や生産者の拡大につなげていきたい考え。
23年は大雨や猛暑で収量が減少。24年はアミノ酸系液肥による生育、収量比較、全自動収穫機の導入などの試験を予定する。