創味食品 山田佑樹社長 28年度売上高500億円達成へ 中計初年度は「挑戦」の年に

創味食品の23年12月期は増収増益で着地した。外食・給食市場が大幅伸長して牽引。家庭用はヒット商品「ハコネーゼ」が堅調だったものの、値上げの反動で全体では微減になった。今年度から始まる第5次中期経営計画では、最終年度の28年度に日米合算で売上高500億円を目指す。製造拠点を増やし増産するほか、好調分野・新分野の商品開発に注力する。山田社長に事業計画を聞いた。

――23年12月期を振り返って。

山田 売上高は前年比110.5%の348億円で着地。内訳は業務用237億円/117%、家庭用111億円/99%。人流の回復に伴い外食、給食市場が回復したが、家庭用はパスタソース「ハコネーゼ」が好調も、値上げの反動で販売数量が減少した。海外事業は、物流の混乱による問屋の買い込みの反動が続き微減になったが、下半期からは回復傾向にある。海外事業売上は2年間で8割伸長して、今後も期待できそうだ。利益は原料高騰が続き厳しい環境だったが、下半期のテレビCMをすべて見送るなど広告宣伝費を大幅に抑えて増益を確保した。

商品別では、好調な「ハコネーゼ」シリーズが計7品に拡大したこともあり、23年度は129%と大幅伸長。累計出荷数は2千600万食を突破した。また「ハコネーゼ」のヒットにより、業務用ルートの要望を受けて展開した「海老トマトクリーム」や「ボロネーゼ」の1㎏サイズが、デリカ用ソースとしてスーパーの総菜やベンダーから評価された。1食分のポーションタイプは、ゴルフ場など簡便なオペレーション、かつ高品質な味を求められる業態での採用が進んだ。

――第5次中期経営計画の概要を。

山田 グループ全体で28年度売上高500億円を目指す。来年秋には物流倉庫を併設した関東工場を竣工予定。商品では洋風調味料を強化するとともに、新しいジャンルの商品にも注力する。海外については、工場のある米国を中心に販売強化を行うとともに、昨年から強化するEU圏を深掘りする。

――今年度の家庭用、業務用の事業方針は。

山田 中計1年目として「新たなる挑戦」に取り組み、大きく飛躍する年にしたい。売上目標は389億円。業務用268億円/113%、家庭用121億円/108%を見込む。「挑戦」の一環として、今期は家庭用焼肉のたれ市場に注力する。新規商品は「創味焼肉のたれ 二代目」。万人に好まれる濃厚フルーツの旨味だれに、商談の手ごたえも非常に良く、主要企業に採用される見込み。既存商品で本場韓国の味をイメージした「創味焼肉のたれ」は、「初代」と名付けてパッケージを刷新、新商品と親和性を持たせた。4月から、ウッチャンナンチャンを起用したテレビCMを放映している。二人のCM共演は約20年ぶりだそうで、世間の注目を集め、商品の認知向上につながることを期待したい。

――供給体制を増強されていますが詳細を。

山田 「ハコネーゼ」の需要増に伴い、レトルト、小袋商品の生産ラインを拡充するために昨年秋に本社第2工場を竣工、本年より本格稼働する。

また当社の国内生産拠点は現在京都のみだが、今後東日本での供給が増えることを見込み、来年秋に物流倉庫を併用した関東工場を埼玉県羽生市に竣工する予定。設備投資は、1期工事で100億円。東日本で使用される商品を中心に製造する予定だ。