サントリー食品インターナショナルは、割材ニーズの高まりに着目して開発した新商品「サントリー天然水 SPARKLING」で炭酸水市場に挑む。
3月19日、取材に応じた平岡雅文ブランド開発事業部課長(当時)は「割材の価値を一つ上に引き上げるような炭酸水を目指して開発した」と語る。
炭酸水の割材ニーズについては「調査したところ、直飲み(直接飲用)よりもアルコールの割材としての飲用が増えている傾向がある。炭酸水の飲用者も、家飲みの割材を主目的に購入し、ついでに直飲みする動きが顕著にみられる」とする。
「サントリー天然水 SPARKLING」の割材に適した独自価値は高密度と強刺激の2つ。
高密度では、細かい泡の密度にこだわった。
天然水を使用することで、天然水に含まれるミネラルが炭酸ガスを抱き込み、泡そのものが細かくなる。この天然水由来の価値をベースに、カリウムとマグネシウムを加えた設計にした。
「カリウムが入ることで、割材として使用した際も香気成分がリリースされやすくなる。例えば、お酒を割った際にその香りやコクをより感じられる。マグネシウムはきめ細かい泡を長持ちさせることができるため、氷を入れても泡が消えにくい設計になっている」と胸を張る。
泡が細かく消えにくいため、直飲みでも喉元で爽快な刺激を感じられる。
強刺激についてはブランド史上最高レベルのガス圧により実現。「物理的にこれ以上入れられないという限界値まで炭酸を加えている」という。
今回、割材に特化した新商品を投入した背景には、炭酸水市場の熾烈な競争環境がある。
炭酸水市場は、NB商品の22年10月の価格改定を境にPB商品への流出が加速し、NB商品は逆風下にある。
加えて市場全体は昨年、外出機会が増加したことで、コロナ禍で拡大した家庭内需要の反動減が追い討ちとなった。
コスパという観点だけでなく、炭酸水というカテゴリーとしての特性も流出の一因となったという。「炭酸水の中身は水とガスのみのため、なかなか差別性を出せない。味わいに変化を持たせるのが難しく、結果として『安い方がいい』と思われてしまっている」と指摘する。
この現状を打破するべく、「割材にかなり振り切った中身設計で、PBとの差別化を図っていく」。
今後のマーケティングでは、業務用製品ではバーを中心とした料飲店を中心に開拓し、家庭用に向けてはサントリーグループとしての強みを生かして酒と連動した売場づくりやコミュニケーションを展開する。
3月26日に330㎖PET(業務用専用)を先行発売し、500㎖PET・1050㎖PETを5月28日から全国発売する。自販機での展開は未定となっている。
「サントリー天然水 SPARKLING」の発売に伴い、現行品の「サントリーソーダ」は490㎖PET、330㎖PET、200㎖缶を終売とする。「サントリー天然水 スパークリング レモン」は自販機で継続販売し、「ザ・プレミアムソーダ FROM YAMAZAKI」などの業務用瓶商品も継続して販売される。