トップ交代のロッテ イノベーション体質強化へ 価値観変化にスピード上げ対応

ロッテのトップ交代人事が4月1日付で行われ、中島(なかしま)英樹専務取締役執行役員が代表取締役社長執行役員に就任し、牛膓(ごちょう)栄一代表取締役社長執行役員は特別常任顧問に就任する。

牛膓社長は2018年から現職。トップ交代は2期6年の任期満了に加え、取り巻く環境の変化を受けたものとなる。

3月1日会見した牛膓社長は「コロナ禍や環境問題、地政学的など様々な動きがある中で、人々の価値観が急激に変わってきている。世の中のスピード以上のスピード感を持たないと通用しないと常々思うようになった」と吐露する。

18年の社長就任以降、牛膓社長が目指したのはイノベーション体質の強化。その素地として社内風土の改革に取り組んできた。

「業界の中でロッテは後発メーカー。絶えずイノベーションを繰り返し創出してきた歴史があり、それ以上にしていきたいというのが私の目標。まずは何事にも挑戦できる風土と自由闊達に話せる環境に変えようと取り組み、個の力の発揮も掲げた。とにかく社員自ら考え新しいものを生み出していく自由闊達な会社にしたかった」と振り返る。

6年経った現在、「理想とはほど遠い」としながらも、社員同士の交流が活発化し、上下や横の壁が取り払われるようになったという。この間、イノベーションも創出され業績に貢献する。

イノベーション創出で牛膓社長が旗を振ったのが、ブランドの領域を広げるメガブランド戦略。

「100億円以上を売上げるお菓子やアイスのブランドをいくつ持つかということをマーケティング・営業・製造の三位一体で心がけてきた」とし、その成功の兆しの一つにチルド分野の開拓を挙げる。

「メガブランドの周辺領域を探索し、例えば(菓子の常温やアイスの冷蔵とは)異なる温度帯のチルドの分野に着目して、チルドの『生チョコパイ』を発売したところ大ヒットした。今年新発売した『生雪見だいふく』は、冷蔵のアイスの製造から解凍してチルドに持っていくという物流面もいろいろ考えた商品で、これも大成功している」と説明する。

ボトムアップでアイデアが生み出され成功に結びついている点に一番の手応えを得る。「チルドは一つの成功事例。いろいろな部署で『若い人たちに考えさせてくれる』ことができたのが成功だと思っている。社長就任以降、私が商品をチェックしてこなかったのは、時間がないからではなく任せていたから。ブランドの方向性だけ間違っていなければ、デザインや味などは若い人に任せるべき」と語る。

メガブランド戦略が少しずつ花開く一方、取り巻く環境はコロナ禍やエネルギー・原材料高騰で目まぐるしく変わる。価格改定などの難しい舵取りを迫られながらも難局を乗り越え、今期(24年3月期)は「売上・利益ともに非常に良い形で終了する見込みとなる」。

トップ交代は、近年の好業績に昨今の景気動向などを加味して機が熟したと判断。

「ロッテが持続的にイノベーションを起こし成長していくには、新たな経営体制、リーダーが求められる。世の中が少し動き出し食品の需要が上がっているタイミングで変えるのがベストだと判断した」と述べる。

バトンを渡される中島次期社長も人材育成を重視。「働く場、活躍する場の提供というのが非常に大きな社員のワクワクする、少し胸躍る部分だと思っており、活躍の場を広げられる機会を増やしていきたい」と意欲をのぞかせる。

さらなるイノベーション創出に向けて中島次期社長は以下の4つの重点方針を掲げる。

▽サステナビリティの重視
▽既存事業(菓子・アイス)の基盤強化
▽海外事業の拡大・加速
▽新規事業の創出・推進」

この中で一丁目一番地に位置付けるのが既存事業の基盤強化。「既存事業のクオリティを上げることで収益が向上して様々な分野へ投資できると考えている。成長分野への投資にとどまらず、人の育成も大きな取り組んでいくテーマ」との考えを明らかにする。

中島次期社長は1987年4月、広島修道大学商学部卒業後、ロッテ入社。銀座コージーコーナー社長やロッテアイス社長を歴任した経験を強みとする。

「いろんな事業を経験させていただいた。いろんな事業の視点から、ロッテの今の既存事業や新規事業をしっかり見て取り組んでいきたい」と語る。

なお、上場については「当面予定はない」と回答した。

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