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飲料嗜好飲料物流2024年問題も考慮 ネスレ日本が中距離輸送トラック年間4000台削減 定期貨物鉄道輸送にシフト 食品・飲料業界初
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物流2024年問題も考慮 ネスレ日本が中距離輸送トラック年間4000台削減 定期貨物鉄道輸送にシフト 食品・飲料業界初

 ネスレ日本は2月、JR貨物グループの協力を得て、ネスレ日本・島田工場(静岡県島田市)から関西方面への「ネスカフェ ボトルコーヒー」の輸送に定期貨物鉄道の活用を開始した。

 島田工場から関西の納品先への輸送距離は約330km。長距離よりも貨物量の多いとされる中距離帯となる。
 この距離での1日200トンの輸送を貨物鉄道に担わせることで、これまで中距離輸送を担っていたトラックを年間4000台削減、CO2排出量を年間900トン削減できる見込みとなる。

 トラックなどの車両輸送と比較して環境負荷が少なく大量輸送が可能な貨物鉄道や船舶などに輸送を切り替えるモーダルシフトは、長距離帯ではネスレ日本を含め各社で既に実施されている。

 ネスレ日本・JR貨物調べによると、中距離帯での1社1日200トン規模の貨物鉄道輸送は食品・飲料業界初となる。

ネスレ日本の深谷龍彦社長兼CEO
ネスレ日本の深谷龍彦社長兼CEO

 2月21日、開始式に臨んだネスレ日本の深谷龍彦社長兼CEOは、今回の静岡―関西間のモーダルシフトを、持続可能な輸送網の構築と温室効果ガス削減に寄与する重要な取り組みと位置づけ「ますます推進していく」と意欲をのぞかせる。

 長期を見据えた取り組みでもある。

 ネスレ日本の伊藤健二サプライ・チェーン・マネジメント本部物流部部長は「弊社に限らず、これまで中距離輸送では効率面や経済面を考えるとトラック輸送のほうが優位であったが、現在直面する物流2024年問題を考慮した」と語る。

 1日200トンの輸送量は、12フィート・コンテナ40個分に相当。この量を複数の貨物列車で輸送する。

 貨物列車の輸送先は、日本運輸倉庫関西支店の側線倉庫。JR貨物百済貨物ターミナル駅を経由する。側線倉庫は総面積5000坪・5階建てで、1階部分が列車の引き込み線(ホーム)となっている。

左から日本運輸倉庫(JR貨物グループ)の柏井省吾社長、日本貨物鉄道(同)の犬飼新社長、ネスレ日本の深谷社長兼CEO、全国通運(同)の永田浩一社長
左から日本運輸倉庫(JR貨物グループ)の柏井省吾社長、日本貨物鉄道(同)の犬飼新社長、ネスレ日本の深谷社長兼CEO、全国通運(同)の永田浩一社長

 ここで荷降ろしされたパレットは荷役機械で2Fの倉庫に保管される。保管能力は現在整備中でパレット7000枚分を計画。コンテナ1個には6パレットが格納できるようになっている。

 側線倉庫から関西の納品先にトラックで出荷される。側線倉庫には10トン車9台分の出荷用バースを備えている。

 夏場の需要急増などを見越しネスレ日本の物量に対応するため、側線倉庫の列車の引き込み線を貨車4両分から6両分に拡張した。
これにより1度にコンテナ30個分の搬入が可能となる。

 そのほか実現にあたり、JR貨物グループでは1年ほど使用されていなかった倉庫側線の復活や荷役の安全確保などに腐心。
 ネスレ日本は、島田工場からの出荷・積載方法に試行錯誤を重ねたという。

コンテナを開けてパレットに積まれた「ネスカフェ ボトルコーヒー」をお披露目するピエール・アラン・ミショー常務執行役員サプライ・チェーン・マネジメント本部長(左)と嘉納未来執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長(右)
コンテナを開けてパレットに積まれた「ネスカフェ ボトルコーヒー」をお披露目するピエール・アラン・ミショー常務執行役員サプライ・チェーン・マネジメント本部長(左)と嘉納未来執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長(右)

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