ヨーグルト “音”で消費喚起も 興味惹く販促活発化

23年度(4~12月)のヨーグルト市場は金額ベースで前年を3ポイント程度上回ったが物量は90%台で推移したとみられ、引き続き物量回復が課題となった。ヨーグルトの日常的な喫食につなげるべく、人々に情緒的に働きかける販促施策も活発化している。

明治の松田克也社長は「明治ブルガリアヨーグルト」発売50周年記念発表会で「正統派こそが、未来をつくる。」の新ブランドビジョンを宣言。王道ブランドのさらなる進化に向けた新たな取り組みとして、ヨーグルト売場や入口にサイネージと人感音声POPを設置し、視覚・聴覚を刺激する販促物を通してヨーグルトへの興味関心・自分ゴト化につなげる方針を示した。一部チェーンで「明治ブルガリアヨーグルト~♪」でお馴染みのサウンドロゴを用いた人感音声POPの設置を予定。「昔からあって競合にはない、認知度が高いメロディ。色々なところに散りばめ、売場に来た時に当社の商品を買いたくなる仕掛けを作る」(担当者)としている。

雪印メグミルクも共感を呼ぶサウンドで機能を伝える。2月17日から「乳酸菌ヘルべヨーグルト ドリンクタイプ」のCMを放映し、春の季節の目鼻の不快感対策に同商品を頼ってほしい気持ちを、吉幾三さんの名曲「俺ら東京さ行ぐだ」の替え歌に乗せて表現した。「CMなど音で耳に残すというのは非常に有効。色々なつながりが出て、この音を聞けば思い出すというのは重要で意識している」と担当者は語る。

近年は様々な機能性乳酸菌飲料やヨーグルトが売場に溢れ、目的買いの人以外は「どれを購入すればいいか分からない」という消費者も多い。サイネージを用いたり、記憶に残りやすいヘルスクレームで視覚・聴覚的に機能が伝われば、新規購入にもつながりやすい狙いがあるとみられ、今後も様々な仕掛けが予想される。

商品やパッケージ以外で、情緒的につながる施策も重視されている。これまで反響があった施策として、雪印メグミルクは「ナチュレ 恵 megumi」シリーズで全12種の受験生を応援するパッケージを展開し、フリーダイヤルなどで消費者から温かい声が多く寄せられた。ダノンジャパンは「オイコスが原動力になる」篇のTVCMで、商品のタンパク質が体に取り込まれ一歩また自分を“追い越す”原動力になることを視覚的に伝えた結果、ブランド史上最高のシェア獲得につながった。

オハヨー乳業は過度な販促の見直しなどを図りながら、酪農の出張授業やファンミーティング、広告以外のメディア活用を強化する方針を掲げる。「生活者が何となく抱く健康感やカラダに良さそうなイメージだけでなく、食べる楽しみとしてのヨーグルトの定着が重要。食材としての魅力や食品としてのヨーグルトの価値が改めて浸透し、ヨーグルトが日本の食文化の一つとなるような取り組みを重視していく」と語る。