7.7 C
Tokyo
5.4 C
Osaka
2025 / 12 / 26 金曜日
ログイン
English
飲料系酒類23年日本酒輸出額 各国で反動減・消費低迷、14年ぶり前年割れ トップ中国は処理水問題も絡み失速 中長期でインバウンドとの好循環に期待

23年日本酒輸出額 各国で反動減・消費低迷、14年ぶり前年割れ トップ中国は処理水問題も絡み失速 中長期でインバウンドとの好循環に期待

日本酒の輸出額が14年ぶりに前年割れとなった。財務省貿易統計によると、2023年1~12月累計の実績は410億8千200万円、前年比13.5%減で着地。トップの中国が景気低迷に加え、処理水問題でさらに失速した影響が大きい。また世界的なインフレにより、アメリカなどの消費が振るわなかった。数量ベースは2万9千196kl、18.7%減。

主なマイナス要因には、(1)過去2年に急拡大した反動(2)インフレや景気減速による消費低迷(3)処理水問題―の3点が挙げられる。

(1)は21年66%増、22年18%増と拡大したものの、この数字はあくまで出荷実績のため、現地の実需とはギャップがあった。特に22年は物流コンテナの混乱が収束したのを機に、注文の前倒しで市中在庫が膨張。アメリカを筆頭に「23年はその消化に時間がかかった」(関係者)。

(2)は主に上位国のアメリカや中国で発生。「1店舗当たりの消費量が減少」「人件費高騰の煽りで店舗をオープンできない」等の事例も多い。

(3)の影響は、中国向けの実績で顕著に表れている。日本産水産物が輸入停止になって以降、日本酒の輸出も8~11月は数量ベースで前年比50%台に激減。12月単月は約70%に持ち直したが、依然として低水準に沈んでいる。

■韓国向け好調、訪日増が後押し

一方、コロナ規制の撤廃で世界中の人流が回復し、日本もインバウンド消費の活況に沸いた。このトレンドが日本酒の輸出(=現地での需要)に影響したとの指摘がある。例えば昨年のシンガポールは35%減と低調だが、富裕層が外地での消費に向かった影響が出たようだ。これに対し、訪日客が増えた韓国向けは15%増と拡大、不買運動(19年)が起きる以前の水準を完全に超えてきた。日韓関係の改善を背景に、現地のSNSで「日本で人気銘柄を飲んだ・買った」との書き込みも増えているという。

短期的には中国の回復が待たれるところだが、中長期的にはインバウンドの盛り上がりが海外需要の創出に繋がる好循環が期待されている。

2020-2023清酒輸出額推移

関連記事

インタビュー特集

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。