キリンビバレッジは「生茶」を大刷新して緑茶飲料の新価値創造に挑む。
新製法を採用して茶葉のあまみを強化するなど味覚やパッケージに磨きをかけて「生茶」本体と「生茶 ほうじ煎茶」を4月9日にリニューアル発売する。
1月24日に開催された事業方針発表会では、コモデティティ化が進む緑茶飲料市場に風穴を開ける気構えが示された。
緑茶飲料市場は拡大傾向にある中、コストアップにより価格改定を実施した主要NB商品と値頃感のあるPBの価格差が広がり、節約志向の高まりからNBからPBへの流出の動きが顕著になっている。
「生茶」の大刷新は、新たな価値提案でこの動きに歯止めをかける狙いもある。
吉村透留社長は「既存の緑茶飲料とは一線を画した新しいペットボトル(PET)緑茶として『生茶』ブランドから新たな提案をさせていただくことで、緑茶飲料の魅力化に再度取り組んでいきたい」と意欲をのぞかせる。
リニューアルにあたっては、同じく緑茶飲料のコモディティ化脱却を狙って2023年9月に発売開始した「生茶 リッチ」から得られた知見も活用。
「『生茶 リッチ』では微粉砕かぶせ茶による上質な味わいをご支持いただいていることから、『生茶』が持つ渋すぎず苦すぎない味わいを骨格にしながら、より上質なものにするため、『生茶 リッチ』の製法を参考にしながら処方や製法を抜本的に見直した」と説明する。
従来からの生茶葉鮮度搾り製法に加えて、今回、新たに採用したのが「凍結あまみ製法」と称する新製法となる。
新製法について、成清敬之執行役員マーケティング部長は「苦くなく、しっかりお茶を感じられてスッキリ飲めるものを目指して採用した。新製法で、お茶の甘みをミドルからラストで(口に含んで飲み込むまでの後半にかけて)感じられるようにした」と語る。
新製法の採用に加えて、微粉砕茶葉を現行品から約3倍に増やして「新茶のような甘みが感じられる緑茶としておいしさを進化させた」。
パッケージにも磨きをかける。
PET緑茶が人に見られる自己表現アイテムという認識に変わってきたという同社調査に着目し、生活を彩るデザインを採用した。
田代美帆マーケティング部ブランド担当主務ブランドマネージャーは「朝から一日持ち歩きたくなるように心がけた。一日持ち歩くものは、素敵なものがいい」と述べる。
なお「生茶 リッチ」は、キリン独自の微粉砕かぶせ茶(かぶせ茶マイクロ粉砕)を現行の「生茶」本体の10倍使用して素材にこだわったほか、通常の製造工程よりも手間をかけてつくられ、苦渋みを抑えた深いうまみが感じられるのが特長。
この特徴が支持されたとみられ、発売から約2週間で1000万本を突破した。今後はさらなる成長を目指し、新たに自販機での販売を開始する。
「生茶」ブランドの2024年販売数量は前年比1%減の2750万ケースを計画。5月1日に大型PETの値上げなどを織り込み売上収益での成長を反映させた数量計画となる。