環境激変の酒類 「黄金の2年間」生かせるか ビールに投資集中強まる 新ブランド多士済々

ビール業界の新年度が始まった。26年にかけてビール類の酒税改正が段階的に進むなかでも、今年と来年は酒税率の変更がない。じっくりと腰を据えて各社各様の戦略に取り組むことができる、最後の貴重な2年間。酒類を取り巻く環境激変に、どう立ち向かうのか。大手4社が事業方針を明らかにした。

「不確実、多様性の時代、いろいろなことが変わる。ボリューム最大化を追うのではなく、お客様に価値を認められる商品、サービスを展開したい」(アサヒビール・松山一雄社長=写真右上)。

「ときに上質なものを、あるいはときにコスパのよいものを。その時々の心理状況にフィットした賢い消費が、昨年は顕在化した。新しいものへのチャレンジ、画一的でない多様性を認め合う風潮も加速した」(キリンビール・堀口英樹社長=同左上)。

「市場変化のスピードは加速。30年前はビール類が大半を占めたが、現在は他の構成比が半分くらいに迫る。お客様の価値観が多様化し、幅広いカテゴリーが楽しまれるようになった」(サントリー・鳥井信宏社長=同右下)。

「酒税改正で家庭用ではビールとRTDのウエートが増している。物価上昇もあり、お客様の消費行動が少しずつ変化しているのを肌で感じている」(サッポロビール・野瀬裕之社長=同左下)。

1月11日にかけて行われた事業方針発表会で、各社のトップは昨今の消費変化を口々に語った。

昨年10月に実施された2回目の酒税改正では、増税となった新ジャンルに逆風が強まる一方、減税のビールには追い風。26年まで税率据え置きとなるRTDも、新ジャンルからの需要流入で一層の成長が期待される。

今年も激戦が見込まれるのが、主戦場のビール。各社とも投資を一層集中させる。

注目されるのが、このほどキリンビールが発売予定を明らかにしたスタンダードビールの新ブランドだ。商品の詳細や発売時期などは未公表だが、会見では質問が集中。「酒税率が変わるなかで狭義ビールの成長が見込まれる。新商品はある種の『攻め』。このタイミングがいいと考えた」(キリン堀口氏)。

スタンダードビールは「一番搾り」一本槍で攻めてきた同社。昨今のニーズ多様化を背景に、ここにもう一つの柱が加わる。アサヒビールが「スーパードライ」に次ぐ柱として21年に発売し育成中の「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)、スタンダード帯が手薄になっていたサントリーが昨年に投入した「サントリー生ビール」は今春にリニューアルを行うとともに業務用の瓶・樽を全国発売するなど、市場のど真ん中を狙うブランドの活発な動きが続く。26年にかけて、売場の風景は一変する気配をみせる。

プレミアム帯のビールでも、攻めの姿勢が鮮明だ。

サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」は“ごほうびビール”としてのアピールを強めるとともに、飲用時品質のさらなる追求でおいしいプレモル体験を拡大。東京・恵比寿に4月オープンする新ブルワリーで顧客接点強化を図るサッポロビール「ヱビス」は、同月に8年ぶりのリニューアルを予定。山田裕貴さん起用の新コミュニケーションも展開する。キリンビールのクラフトビールブランド「スプリングバレー」もリニューアルを計画。

同様に成長市場とみられるRTDでも、新チャレンジが続々。この分野で出遅れていたアサヒが本気を出した。レモンスライスを丸ごと入れた「未来のレモンサワー」のほか、昨年にエリア限定でテスト展開して手ごたえを得たジンベースの無糖柑橘サワー「アサヒGINON(ジノン)」も全国発売を計画。巻き返しに挑む。

40億円を投じて仙台工場に新導入したRTDラインが昨秋稼働したサッポロ、「氷結無糖」で無糖チューハイのトレンドを牽引するキリン、ハイボールやジンなどチューハイ以外でも幅広い選択肢を展開するサントリー。カテゴリーの可能性はますます広がりそうだ。

EU農産品 フランス製 冷凍スイーツ オノレ onore - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)