2024年食品業界が始動 「経済の好循環に期待、サステナブルな発展を」國分会長

食品業界の幕開けを飾る、酒類食料品業懇話会主催による新年賀詞交歓会が5日、東京・水天宮のロイヤルパークホテルで開かれた。新型コロナが5類となり、制限のない開催は4年ぶり。懇話会会員企業をはじめメーカー、卸のトップら223社約800人が参加した。能登半島地震、羽田空港での航空機事故と大きな災害が発生し、困難に直面する年明けとなったが、食品・酒類業界の発展に向けて新たな年の飛躍を誓った。

主催者を代表してあいさつした國分勘兵衛会長(国分グループ本社会長兼CEO)は冒頭、「元日に能登半島で大きな地震があり、いまだに余震が続いている。翌日には羽田空港での航空機事故が発生した。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げる」と語った。

そのうえで昨年を振り返り、「コロナも5類となり、人流の回復とインバウンドの増加で日本経済は明るさを取り戻したようだ。企業の業績も好調で、株価も回復傾向にある。一方で、世界では紛争が続き、安全保障やサプライチェーンに大きな影響を与えている。わが国は資源やエネルギーを外国に依存しており、一日も早く平和が戻ることを願っている」とした。

中締めを務めた京谷裕副会長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
中締めを務めた京谷裕副会長

食品業界を取り巻く環境については、「経済の好循環を促す政府の政策や人口動態・市場環境の変化もあり、私ども食品業界も今までのシェア競争の消耗戦から、サステナブルで持続可能な方向に舵を切ることができた」と手応えを示した。

さらに「(賃金上昇と経済の好循環の)流れを進めることが、わが国の活力となる。2024年も様々な課題が予想されるが、知恵を出し合い、協力し、サステナブルな方向が決して後戻りすることがないようにお願いしたい。昇り龍のごとく、業界が繁栄するよう、皆さまとともに力を合わせてまいりたい」と新たな年への期待を語った。

中締めでは京谷裕副会長(三菱食品社長)があいさつ。「年明けから心を痛める災害・事故が続いた。あらためて被災された方にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く日常生活が取り戻せるように、業界としても支援していきたい」と語った。

今年の年男22人を代表してあいさつする升喜の升本正社長 (酒類食料品業懇話会主催 新年賀詞交歓会) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
今年の年男22人を代表してあいさつする升喜の升本正社長

そのうえで、「羽田空港での航空機事故では海上保安庁の職員5人の尊い命が失われたが、あのような大惨事の中で奇跡的にも379人の乗員乗客が無事に脱出することができた。日頃からの訓練が大事であることを強く感じた。2024年は世界各国が選挙イヤーで、例年以上に予測できない1年になると覚悟している。そのような中でも私ども業界はライフラインである食の流通を担っており、サプライチェーンを決して止めてはならない。日頃からの備えを徹底し、この使命をしっかりと果たしていきたい」と力強く語った。