富山に根ざす老舗菓子メーカー・日の出屋製菓 富山コラボ続々と展開 「おこめぢゃや」に次ぐ新提案も予定〈連載6〉

 1924年(大正13年)2月26日、富山県福光町新町(現・南砺市福光新町)で川合宣之氏が創業した日の出屋製菓産業は来年、創業100周年を迎える。

 節目を迎える来年、消費者をはじめ、長きにわたり原料供給を担ってきたサプライヤーに感謝を伝えて次の100年に向けて弾みをつけるべく様々な施策やイベントを準備している。

 「『Rising Thanks Next 100 Years』をテーマに掲げ、20・30代の社員が中心となって100周年プロジェクトチームを立ち上げ企画を練っている。100周年施策は売上げを上げるのが目的ではなくて、社内外に対して日の出屋製菓のこれまでの歩みを踏まえて、この先の方向性を示して協働・協業のベクトルを合わせていきたい」と川合洋平専務は語る。

 来期(2月期)期首の3月から予定している施策の1つに、富山の産物と人物にフォーカスしたコラボ展開がある。

 「地元・富山で活躍されている芸術家や当社と同じく食品を扱う企業様などと年間通じてコラボを展開していく」という。

 「地域住民が求めている賑わいの場の創出」を目的に、年間を通じて多数のイベントの開催も予定している。

 現在、直営店ブランド「ささら屋」の「福光本店」と「立山本店」で年2回実施している工場祭に磨きをかけて展開していくほか、これとは別に創業祭の準備を進めている。

 新商品も鋭意開発中。

 工場祭では毎回、テストマーケティングの目的も兼ねて、その場でしか買えない新商品を発売して来店客の反応を確かめており、来期はこの取り組みを強化していく。

「おこめぢゃや 富山マルート店」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「おこめぢゃや 富山マルート店」

 今後の商品開発の方向性は、米菓にとどまらず和菓子など地元のお米を使ったいろいろなお菓子を展開していく考えで、その急先鋒に新業態ブランド「おこめぢゃや」を挙げる。

 「おこめぢゃや」は、団子とおこわのお米のおやつ専門店。2022年3月、「おこめぢゃや富山マルート店」を全国初出店したことで立ち上げられた直営店ブランドとなる。

 誕生のきっかけは、「ささら屋立山本店」での工場祭だった。

 併設する「しろえびせんべいファクトリー」(当時・立山工場)で工場祭限定の新商品として団子を発売したところ好評を博し、以降、毎回行列ができ完売するほどまで反響が高まっている。

「おこめぢゃや」誕生のきっかけは「ささら屋立山本店」での工場祭 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「おこめぢゃや」誕生のきっかけは「ささら屋立山本店」での工場祭

 「おこめぢゃや」は、こうした消費者の反響を受けて立ち上げられ、今後出店を加速させていく。

 団子の人気の理由は生地と手焼きにある。生地は、鮮度の良い富山米「てんたかく」を杵で粗目につぶしたものとなる。

 生地の製法にもこだわっている。一般的にはお米をそのままつぶすのに対し、同社では白米を一度製粉し、それを蒸かしたものを、昔ながらの杵と臼を使った“もちつき”と同じような杵つき製法を機械で再現して製造している。

 「おこめぢゃや」では今後、スイーツメニューも拡充していく。

 今夏、富山の氷に、地元の苺や自社農園「結ファーム」で栽培された黄金生姜をシロップにするなどして組み合わせたかき氷をテスト販売して好評を博した。

「ささら屋立山本店」の「おこめぢゃや」で働く佐伯雅治氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ささら屋立山本店」の「おこめぢゃや」で働く佐伯雅治氏

 「単にモノを売るだけではなくて、その場で味わって楽しんでいただけるように、新店・改装店ではできるだけカフェを併設していく。モノを売るだけならECもあり、より上質な体験ができる店舗でないと意味がない」との考えを明らかにする(つづく)。