地球温暖化で気候変動が続くと2050年にはアラビカ種コーヒーの栽培適地が2015年比で50%にまで減少する「コーヒーの2050年問題」への危機感の表れか――。
11月21日、都内で開催された全日本コーヒー協会(全協)通常総会後、囲み取材に応じた全協の萩原孝治郎会長理事は「今後は生産側にもっと目を向けていかないといけない」と述べ、全協の活動の軸足を消費振興から生産者支援に移行していく考えを明らかにする。
全協は、コーヒー豆生産国における持続可能な生産を確保し、世界のコーヒー産業全体が持続的に発展していくことを目指し、国際コーヒー機関(ICO)などの国際機関とも連携して世界のコーヒー産業の持続的発展に資する様々な活動を支援していく方針を打ち出している。
その一環として、萩原会長は9月にインド・バンガロールで開催されたICO理事会と世界コーヒー会議に出席し、ICOと国際労働機関(ILO)が実施する「コーヒー生産国の労働安全衛生改善プロジェクト」に全協が資金拠出を行う内容の調印を交わした。
同プロジェクトは、生産国の労働条件を安全性や衛生面などの観点から底上げしていくもの。
同席した全協の大山誠一郎専務理事は「生産者のキャパシティ・ビルディング、生産者に知識をもってもらうために様々なセミナーを生産国・コロンビアで行う。その開催のための費用の一部を我々が負担する」と説明する。
調印したのは単年度の資金拠出。次年度以降も全協・理事会に諮り継続の構え。
一方、国内消費量は「日本のコーヒー需給表」によると1-8月で前年同期比8.1%減となった。これについては、萩原会長は、夏場の猛暑をマイナス要因に挙げるとともに、価格競争が抑制されつつある可能性を指摘する。
なお全協は本年度(2023年/2024年)から3ヵ年をめどに、全協のプレゼンス・認知度を向上させ、ひいては会員増加に資することを目的とし、コーヒー業界全体の発展に資する情報共有・発信などの事業を総額1億円規模で実施する。