1924年(大正13年)2月26日、富山県福光町新町(現・南砺市福光新町)で川合宣之氏が創業した日の出屋製菓産業は来年、創業100周年を迎える。
この地は、広葉樹の山々から良質な水が流れ出て、古くから農村などでなつかしいお米のお菓子づくりが生活の中に深くとけこんでいる場所とされる。
同社は創業以来、この地に拠点を構え、富山に根ざすことと、人と自然の絆を結ぶことに軸足を置いた経営を実践。主原料のお米については一貫して富山県産を使い続けている。
節目を迎える来年、消費者をはじめ、長きにわたり原料供給を担ってきたサプライヤーに感謝を伝えて次の100年に向けて弾みをつけるべく様々な施策やイベントを準備している。
今後の方向性について、10月5日取材に応じた三代目の川合声一会長は「富山に根ざした会社として、米菓にとどまらず和菓子など地元のお米を使ったいろいろなお菓子を展開していきたい」との考えを明らかにする。
その真意は富山のアピールにある。「富山は耕地に占める水田率が全国1位で、北アルプスからの新鮮で冷たい雪解け水が行きわたっている。豊富なミネラルを含んだ扇状地の富山平野。そのような富山の原風景を守り、農の風景や環境を守っていきたい」との想いを抱く。
水の環境を守ることは富山湾の幸にもつながる。
同社の看板商品「しろえび紀行」の原材料のしろえびの生息は、立山連峰から富山湾に流れるミネラル豊富な雪解け水によるものとされる。
富山米の生産やしろえびの生息などが脅かされない持続可能な事業活動に向けて、生産者や漁師との絆を深めるとともに、連携の輪を広げていくことで、お米にとどまらず富山のあらゆる素材・資産を知らしめていく構え。
「富山の産物のアピールは富山の会社にしかできない。環境・水資源を守りながら、富山の産物を加工して世界中に売っていきたい」と意欲をのぞかせる。(つづく)