菓子卸の関口が宮城県仙台市で9月20日開催した東北・秋季見本市展示会には、過去最多となる124社(169コマ)の菓子・食品メーカーが出展し、小売店や卸店らの来場客とともに、これから最需要期を迎える菓子市場に関する情報交換が活発に行われた。
同展示会は、東北で唯一の専業卸による菓子展示会となる。
1973年の東北進出時、東北の顧客は皆無に等しく、ゼロからのスタートで顧客数を増やし今年で東北進出から50年の節目を迎える。
この日、取材に応じた関口快太郎社長は「今では東北で唯一の専業卸の菓子展示会ということもあり、メーカー様の間でだんだん評判が広がり出展のご要望をいただけるようになった。小売様にとっても、ここにいらしていただければ、普段接点のないメーカー様と商談でき、お互いのニーズがマッチできる場としてご支持をいただけているように思う」と語る。
ネットで情報収集できる時代にあっても、食品、特に菓子においては現場・現物が大事だという。
「お菓子は基本、おいしくないと売れない。展示会は、多くの商品と出会えて、食べておいしさを確認していただくことができる場」と捉えている。
メーカー・小売ともに、規模の大きさを問わず、幅広く案内しているのが関口の展示会の特徴。商品数が1品しかない単品メーカーとも取引きし、バラエティ豊かな売場づくりを可能としている。
「当社の展示会は商品がベース。小売様に合うメーカー様をどれだけご紹介できるかに力を注いでいる。もちろん大手メーカー様の商品も大切だが、それだけだと皆同じ売場になってしまうため、商品をできるだけ幅広くお取り扱いしている」と述べる。
来場者も幅広く、スーパー・量販店・ドラッグストアほか、病院売店やホームセンター、アミューズメント施設など多種多様な業態に関わる人が訪れる。
「やはり皆さん、情報を取りたいのだと思う。東北は他のエリアと比べてメーカー様と小売様の接点が少なく、情報も少ない。展示会できちんとした情報を提供して、とにかくいろいろな商品を売場に導入していただけるようにする。メーカー様にとっても個社でやるには限界があり“この商品いいね”“あの商品もいいね”と情報提供していくことが大切」との見方を示す。
関口の今期(3月期)滑り出しは上々。
直近の9月は「異常な暑さで本当に厳しい」状況にあるが、4-8月売上高は前年同期比5%増を記録し東北エリアも同程度の伸びをみせた。
前期売上高は235億7000万円。このうち東北エリアは約123億円となり、1150億円と推定される東北菓子市場で1ポイント程度シェアを拡大した(シェア10.7%と推定)。
東北エリアの売上高は東日本大震災以降、急拡大。2011年比で1.5倍の売上規模になり物量も増大したことから、仙台支店と秋田支店の倉庫が手狭になり、移転による拡張を予定。
「物流で工夫をしながらある程度は回せていけるが、現在の伸び率を考えると広い倉庫が必要。秋田支店は現在の倍くらい、仙台支店は3倍くらいにしないと間に合わない」と説明する。
物流対応では、物量の多い本社で「輸送トラックに今まで夜積みしていたものを朝積みに切り替えるといったことをテストしている」。
そのほか東北各県の物流拠点では効率化が進み「あまり残業がない」状態となっている。
輸送トラックの減便については「毎日来ていた便が2日に1回、3日に1回になると、その分在庫をしなくてはいけない。このこともあって拡張を考えているが、これではキリがないため、メーカー様にこちらの言い分を聞いていただきながら対応していく」。