ベビーフード 大手各社が値上げも外出増加で市場伸長

日本ベビーフード協議会の発表によると、22年度(1~12月)のベビー加工食品(ベビーフード・おやつ・ベビー飲料含む)生産量は、標準小売価格ベースで前年比2%増(重量0.3%増)で推移した。

食品業界の値上げが相次ぐなか、ベビーフードメーカー各社も原材料価格、資材・エネルギー費などの上昇を背景に価格改定を実施したが、「価格改定直後は特に影響が見られたものの、外出増加などを背景に想定程の大きな落ち込みには至らなかった」とする声が多く聞かれた。その一方で、価格を維持した競合商品との価格差が一部で影響した。

20年度はコロナ禍の外出需要減少を背景にやや落ち込みをみせたが、21年度は外出の復活を機に回復。今年度もさらなる外出増加を背景に市場は成長を維持した。

ベビーフードの形態は大きくレトルトパウチ、レトルトカップ、飲料に分けられるが、22年度はいずれも前年から伸長した。飲料やレトルトカップは、コロナ禍で減少した外出機会が回復したことが影響。市場シェアの大きいレトルトパウチは、コロナ禍で家事負担が増えたことなどを背景に、温めて皿に移すだけといった簡便性の高さが改めて支持されたとみられる。23年度に入ってからもこの動きは継続し、キャップを開ければすぐに食べられるジュレタイプのおやつも伸長している。

各社の値上げは、森永乳業が昨年10月に「ジュレ」シリーズの対象商品11品を約6.3%、キユーピーは11月にベビーフード・幼児食を参考小売価格で2~15%値上げした。アサヒグループ食品も同月「和光堂」ブランド(オープン価格)を値上げし、雪印ビーンスタークは今年4月にベビーフード28品を希望小売価格で4.6~6.3%値上げした。

今後の価格政策については「野菜もずっと上がっている。価格改定した分はすでに上がってしまったが、次の価格改定はないと思っている」(メーカー)とする声など、依然厳しい状況にあるが、現時点では再値上げの動きはみられていない。

厳重な品質管理や安全面や楽しさの工夫を凝らしたパッケージなどベビーフードの価値を考えると、現行の価格は各メーカーの多大な企業努力のもと成り立っているといえる。