大阪に「エア・ウォーター健都」 食を通じた健康作りへ産官学民が連携

前年度(23年3月期)に産業ガス2社の合併から30年で年商1兆円を達成したエア・ウォーターは、次の「10年、20年、30年後を目指した新しい事業を作る」(豊田喜久夫会長)創造・開発・発信の拠点として、大阪府摂津市に「エア・ウォーター健都」を9月13日に開業した。

特にウェルネス(健康長寿など)の分野で産官学民が連携し、「食を通じた健康作り」を進め、新たな事業や商品開発につなげていく。1階のカフェ「スクエアキッチン」では、グループ商材を使用した健康サポートの食のほか、関西大学と連携した防災食メニューを国内で初めて提供する。

同社は、2030年に向け「地球環境」と「ウェルネス」を成長軸に、シナジー創出を図っている。同健都は、吹田市と摂津市が進める健康・医療のまちづくり「北大阪健康医療都市(健都)」に開設。3階建てで、1階は「同キッチン」や運動も行うヘルスケアスタジオなどで地域住民などの情報交換の場所として開放する。2階は産官学民とつながる共創スタジオとして、3階はグループの従業員や今後連携する企業の従業員事務所として最大120人強が入居できるなど「オープンイノベーションが創出しやすい設計」(松林良祐社長)だという。

例えば、関西大学との防災食メニューを、実際に1階のカフェで地域住民などが食し、ヘルスケアスタジオとも連携し、そこから得られるデータを解析することで、新規の事業や商品につなげる。

豊田会長は「(共創では)型にはまらないことが重要。いろんな人が来て、見て、触れていただき、新しいモノを生み出していきたい」と語った。同健都の総投資額は約50億円。

同社グループのイノベーション・技術開発拠点は、同健都のほか、19年5月に神戸に開設した「国際くらしの医療館・神戸」があり、さらにスマート陸上養殖などに取り組む「地球の恵みファーム(長野県松本市)」は24年夏に、林業・農業振興などに取り組む「エア・ウォーターの森」は24年秋にそれぞれ竣工予定で、今後は「この4つの施設を中核に新しいエア・ウォーターを構築していく」(豊田会長)考えだ。