国内産米粉促進ネット 20周年へ取組み開始 セミナーで議論白熱

国内産米粉促進ネットワークは8月26日、「23年度通常総会」を都内で開催し、すべての議案が承認された。23年度は組織の略称を「CAP・N(キャップネット)」から変更するほか、5年後の設立20周年に向け「新5ケ年中期計画」のプロジェクトチームを立ち上げ、10月から動き出すことを決めた。また、生活協同組合とタイアップし米粉料理教室を開催するとともに、米粉の商品開発を推進。料理教室を修了した受講生には「修了証書」を授与し、米粉を普及するための推進コーディネーター役として活躍を期待する。さらに国内外の食文化をテーマとした企画も進める計画だ。

総会終了後はセミナー「どうなる、どうする日本の未来と食料!!『日本の食料を考えるフォーラム、今こそ米粉の出番』」を開催し、100人以上が聴講。登壇者はそれぞれの立場から、日本の食料と未来の方向性について発言し、米粉が、ロシアのウクライナ侵攻を契機に価格が高騰した輸入小麦に代わる安定供給可能な食料として普及するか否かについて意見を述べた。

萩田敏理事長(国内産米粉促進ネットワーク) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
萩田敏理事長(国内産米粉促進ネットワーク)

冒頭、萩田敏理事長は「当会は08年に設立し15年を迎える。米粉で日本の農業を変え、米粉食文化を創造することを目的に活動してきた。08年に米粉用米の生産が開始されてから当会はこれまで3度のターニングポイントを迎えた。3度目は現在だ。国民の関心の高いこのタイミングで米粉が普及し、食料需給率を向上させることが重要。22年現在は4・5万tほどの米粉が生産されている。食料安保の観点からも国内生産が可能な米生産による米粉を拡大することが必要と考える」と持論を述べた。

フォーラムでは、緒方大造氏(日本農業新聞論説委員)をコーディネーターに、平澤明彦氏(農林中金総合研究所理事研究員)、古谷正三郎氏(全国稲作経営者会議会長)、仲宗根由美子氏(東都生活協同組合総合企画室長)、渡辺忠行氏(東京都産業労働局農林水産部課長)が討論。日本の農業が衰退した原因や海外産食材の輸入依存度の高さといった問題点の指摘から、東京都の米粉普及に向けた取り組み事例紹介、米の国内流通価格と国際価格の差異に関するテーマまで議論は白熱した。