霧しな ・こだわりのそばづくり ・手打ち超える機械麺

霧しな 全風景 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
霧しな 全風景

霧しな(長野県木曽郡木曽町開田高原西野5227-121)は、御嶽山のふもと、自然豊かな開田高原に立地する。雑穀企業はくばくのグループ会社として1992年年8月に設立、翌年4月より工場を稼働した。2022年の年間そば生産数量はおよそ2千270t。

その8割以上を乾麺製造が占め、はくばくの受託品の「木曽路御嶽そば」や「そば湯まで美味しいそば」、自社オリジナル「霧しなそば」など市販ルート向け商品を手掛ける。半生麺は主に土産物や通販などで販売。生麺は外食店など業務用や通販・頒布会がメーン。安全安心で美味しく、付加価値の高い商品づくりに取り組む。

霧しながある開田は、標高1千100~1千300mに高原地帯が広がり、昼夜の寒暖差が大きくそばづくりに適した気候や土壌が整う。御嶽山からの伏流水はやわらかい水質の超軟水で、そばの風味を引き立てるのにひと役かっている。自然の恵みを受けた開田そばは、うま味と香り高さに定評があり、そばに口が肥えた長野県の玄人が好む産地として知られている。

原料そば粉や小麦は山梨のはくばくで行い、開田へ運ぶ。従来の製粉は粉を粉砕してから殺菌することが多いが、玄そばの状態で滅菌しゆっくりと石臼びきすることで、熱による劣化を防いで、そば本来の風味をそのまま残した。

霧しな 乱れづくり 麺線チェック - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
乱れづくり 麺線チェック

・躍動感つくる“乱れづくり”

乾麺製品には6~7割に同社独自の「乱れづくり」製法を導入している。そばを捏ね、延ばして、切り出したストレート麺をもみつけることで、よじれやちぢれなどの凹凸をつける。いろんな太さの麺線を3~4種類混ぜることにより、手切り風のそばを実現した。製麺工程上、麺の上部は自重で伸びやすくなるため、その麺も製品一つひとつに均等に分配されるように、作業員が目で確認しながら手作業で行う。乾燥中、乾燥後にその乱れ度のチェックを実施。手間ひまをかけて丁寧に仕上げる。

霧しな 乾燥チェック - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
乾燥チェック

こうして出来上がったそばは、口の中に入れると躍動して、手打麺を超える“跳ねるような食感”を味わえる。この乱れづくり製法を取り入れた「木曽路御嶽そば」は固定ファンも多く、はくばくの乾麺ラインナップのなかでも主力商品となっている。

・無塩を楽しめる麺

近年人気の「そば湯まで美味しいそば」は、塩分不使用、老舗そば屋で提供されるようなそばとそば湯を楽しめる商品。野趣あふれる「黒いそば」や「白いそば」をはじめ発売以来、品揃えを増やし、販売を伸ばしている。

霧しな 主な製造品 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
霧しな 主な製造品

乾麺の塩分はもともと、そば粉に塩水を加えることでグルテンを生み、乾麺のコシを強くする重要な役割がある。塩分を使わない麺はその分の工夫、その日の気候に合わせてそば粉や小麦、水の調合の微調整が必要だ。また塩を加える場合と比べて多乾燥になりやすく、温度湿度のチェックを徹底する。

製造に手間と時間をかける一方で、作業効率や歩留まりを上げる取り組みを強化している。

これまで塩分不使用商品を製造する場合、週末に塩水タンクの清掃に6時間かけていたが、2021年2月に専用の無塩タンクを常設。さらに無塩で製造した麺の派材を再利用できる仕組みを整え、廃棄量の削減を可能にした。

全ての乾麺は24時間、シフトを交代して製造する。乾燥の熱風でそばの風味を損なわないように、低温で長時間「乾燥と言うより、除湿するようなイメージで、じっくり長時間水分を取り除いていく」という。また半生そばは、酒精を使わず、そば本来の風味と食感を残している。

土地柄、雇用の確保が難しいことから、3~4年前から設備の更新と合わせて省人化を強化。近い将来、少人数でも安定的に生産を継続できる体制に取り組む。

・「開田早生」を育む

開田の土着品種「開田早生(わせ)」は、風味高い小粒の玄そばだ。夏でも寒暖差が大きい開田高原は霧が発生しやすく、この霧が日中の気温上昇からそばを守るクッションとなっている。また日中に溜めたエネルギーと糖分を実に溜めこむため、うま味と香りがぎゅっと詰まったそばが仕上がる。

霧しな 梱包風景 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
梱包風景

霧しなでは、自社オリジナル製品を中心に、12年前から「開田早生」をはじめとする長野県産そばを原料にした商品強化に取り組む。開始当時は、玄そば生産者はわずかだったが、地元のJAや生産者とパイプを築きながら生産を奨励し、意欲的に生産できる仕組みをつくりながら、契約栽培を広げてきた。

5~7月に玄ソバを栽培。夏の新そばを8月、秋の新そばを9月、標高が高い開田の新そばは1か月遅れの10月に発売する。乾麺、半生麺、生麺に製麺し、地元の土産ルートや通信販売、頒布会など独自ルートで販売。「毎年楽しみにしてくださっているお客様にいちはやく新そばを届けている」。

また開田のそばをより多くの人に知ってもらうために、「蕎麦の教室」を主催。そばの種まきから収穫、そば打ち体験を通じて、そばの本当の美味しさや魅力を伝えている。

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