流通・飲食尾家産業 尾家健太郎社長 食の楽しさ伝え続ける 現場の声から次の成長戦略を

尾家産業 尾家健太郎社長 食の楽しさ伝え続ける 現場の声から次の成長戦略を

尾家産業の4代目社長に、6月27日付で尾家健太郎氏が就任した。長期ビジョン「いい会社をつくろう」を継承し、「食の楽しさを伝えていける企業でありたい」と社内外に発信する。実際、良い会社について5年前に社員と議論した内容が「今につながっている」と強調する。一方、コロナ禍では赤字も経験した。それでも23年3月期はV字回復を果たした。その原動力に尾家社長が強みとする「人」を挙げる。今後も食の楽しさを伝え続け、24年後の100年企業を見据える。

尾家産業は23年4月から中期計画2年目が始動している。尾家社長は現中計を「しっかり実行」していく過程で、「現場の声を聞きながら次の成長戦略を描く」と語る。次とは5~10年後を指す。

5年前に次世代を担う40代の社員と、良い会社をつくるを主題に議論した。その時の内容が、「生鮮強化」「ヘルスケアフード強化」「女性活躍」「社員満足度業界ナンバーワン」など。営業面では現在の重点施策とする「MVF(肉・野菜・魚)」の素材品強化があり、ヘルスケアフード強化では5年前に200億円を目指すとし、今期180億円で来期200億円を目指している。また、女性活躍推進では、女性管理職は14人に増えた。

尾家産業の強みについては前述した「人」が根底にあるが、組織として全国44か所の全国対応できる組織とその拠点を活用した物流やシステムを、営業面ではきめ細かい営業力や提案力を挙げる。食材高騰下でも得意先のメニュー単価アップや人手不足解決につながる時短メニューなどを細かく提案し、V字回復の原動力となった。

ただ、外食市場は回復傾向にあるが、人手不足による売上機会ロスや若者のアルコール離れなどの課題も多く、「メニュー提案でお役立ちしていく」考えだ。

その具現化策の一つが提案会で、直近では8月22日の大阪会場を皮切りに、秋季提案会を全国11会場で開催し、顧客の課題解決につなげていく。

尾家社長は現在49歳。1998年にサントリーに入社し11年間商品開発一筋でヒット商品を模索した。2008年に尾家産業に入社し商品部配属。工場を100か所以上訪問し「メーカーさまとのつながりができた」とする。13年に滋賀営業所で初の営業。2年間在籍し「商売の厳しさを味わい、楽しさも学んだ」と振り返る。15年に本社に戻り、管理部門トップを経て現在に至る。

サントリーと言えば創業者の「やってみなはれ」の精神が有名だが、尾家社長も「失敗を恐れずにやってみる」チャレンジ精神を常にモットーとしているとのこと。「三現主義(現場・現物・現実)」も大事なこととして挙げ、「自分の目で確かめ、耳で聴き、肌で感じ、新体制で次の成長戦略を描く」とする。

今後は、全事業所を訪問し「社員とミーティングする」計画だ。23年7月、滋賀営業所からスタートしている。

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