8.2 C
Tokyo
6.2 C
Osaka
2025 / 12 / 16 火曜日
ログイン
English
流通・飲食尾家産業 尾家健太郎社長 食の楽しさ伝え続ける 現場の声から次の成長戦略を

尾家産業 尾家健太郎社長 食の楽しさ伝え続ける 現場の声から次の成長戦略を

尾家産業の4代目社長に、6月27日付で尾家健太郎氏が就任した。長期ビジョン「いい会社をつくろう」を継承し、「食の楽しさを伝えていける企業でありたい」と社内外に発信する。実際、良い会社について5年前に社員と議論した内容が「今につながっている」と強調する。一方、コロナ禍では赤字も経験した。それでも23年3月期はV字回復を果たした。その原動力に尾家社長が強みとする「人」を挙げる。今後も食の楽しさを伝え続け、24年後の100年企業を見据える。

尾家産業は23年4月から中期計画2年目が始動している。尾家社長は現中計を「しっかり実行」していく過程で、「現場の声を聞きながら次の成長戦略を描く」と語る。次とは5~10年後を指す。

5年前に次世代を担う40代の社員と、良い会社をつくるを主題に議論した。その時の内容が、「生鮮強化」「ヘルスケアフード強化」「女性活躍」「社員満足度業界ナンバーワン」など。営業面では現在の重点施策とする「MVF(肉・野菜・魚)」の素材品強化があり、ヘルスケアフード強化では5年前に200億円を目指すとし、今期180億円で来期200億円を目指している。また、女性活躍推進では、女性管理職は14人に増えた。

尾家産業の強みについては前述した「人」が根底にあるが、組織として全国44か所の全国対応できる組織とその拠点を活用した物流やシステムを、営業面ではきめ細かい営業力や提案力を挙げる。食材高騰下でも得意先のメニュー単価アップや人手不足解決につながる時短メニューなどを細かく提案し、V字回復の原動力となった。

ただ、外食市場は回復傾向にあるが、人手不足による売上機会ロスや若者のアルコール離れなどの課題も多く、「メニュー提案でお役立ちしていく」考えだ。

その具現化策の一つが提案会で、直近では8月22日の大阪会場を皮切りに、秋季提案会を全国11会場で開催し、顧客の課題解決につなげていく。

尾家社長は現在49歳。1998年にサントリーに入社し11年間商品開発一筋でヒット商品を模索した。2008年に尾家産業に入社し商品部配属。工場を100か所以上訪問し「メーカーさまとのつながりができた」とする。13年に滋賀営業所で初の営業。2年間在籍し「商売の厳しさを味わい、楽しさも学んだ」と振り返る。15年に本社に戻り、管理部門トップを経て現在に至る。

サントリーと言えば創業者の「やってみなはれ」の精神が有名だが、尾家社長も「失敗を恐れずにやってみる」チャレンジ精神を常にモットーとしているとのこと。「三現主義(現場・現物・現実)」も大事なこととして挙げ、「自分の目で確かめ、耳で聴き、肌で感じ、新体制で次の成長戦略を描く」とする。

今後は、全事業所を訪問し「社員とミーティングする」計画だ。23年7月、滋賀営業所からスタートしている。

関連記事

インタビュー特集

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。