発芽野菜を生産販売する村上農園はこのほど、宮城県黒川郡大郷町に生産センターを新設し、稼働を開始した。
センターの第1期投資額は15億円で、生産能力は年間9千万パック(スプラウトシリーズ換算)。発芽野菜の生産施設としては国内最大規模となる。敷地面積は6万㎡で、東京ドーム1.3個分。工期は第4期までを予定しており、豆苗、スプラウトシリーズ(ブロッコリー、マスタード、クレス、レッドキャベツ)、かいわれ大根など8品目を生産する。
同社グループの生産施設は千葉県、山梨県、神奈川県、広島県など11か所で、北日本の拠点設置は初めて。これまで東北地方には関東で生産した商品を長距離輸送していたが、新たな生産拠点が稼働することで輸送にかかる時間が削減され、より鮮度の高い商品を届けられるようになる。
設備面は、太陽光を利用した遮蔽型のハウスで気化熱を利用した環境配慮型の冷房システムを設置。また純国産第一号となる全自動ムービングベンチはコンピューター制御で播種場から緑化場、予冷庫まで自動搬送する。また中央制御室から一括制御可能な最新システムを採用した。
6月16日に開かれた竣工式で村上清貴社長は大郷町や関係者に感謝を述べた上で「2019年に着工してから、台風の浸水などによる計画の見直しがあった。まさに雨降って地固まるということだ。思えば当社はこれまで多くのピンチを乗り越えてきた。1996年にはかいわれ大根とO-157の風評被害で売上高が4分の1まで激減して倒産の危機を迎えた。しかし新商品開発に活路を見いだし、全国各地の量販店に販路を拡大することで売上高100億円を超える企業に成長した。ピンチをチャンスに変えるのが当社のモットー。2040年には売上高1千億円を目指し、世界一の施設野菜メーカーになる」と抱負を述べた。
同社では、来年にも北海道伊達市にグループ13か所目となる生産拠点を開設する計画。今夏の着工を予定している。